2.02

2.02 最近の国際会議から:MML’04

新機能スピントロニクス素子:強磁性ロジック回路素子(MML’04)

  Paul Drude Institute for Solid States ElectronicsのPloogは、GaAs(001)に成長したαMnAsの新奇な磁化過程について報告し、その磁化過程を用いた論理素子を提案した(初日招待講演:Magnetic Logic with MnAs Films as Base for Programmable Computing with a Single Magnetoresistive Element)。
  PloogらはCantilever Beam Magnetometer法(CBM法)を用いて、膜面垂直方向に磁場をかけた際の磁化の面内成分のヒステリシスの測定を行った。その結果、面内に±3mTの弱磁場を印加した状態で上記のヒステリシス測定を行ったところ、面内弱磁場の有無(あるいは符号)によって、ヒステリシスが50mT程度シフトすることが見出された。さらに、彼らはこのヒステリシスのシフトをCPP-MRを用いて読み出す論理素子を提案した。
  一方,Durham大学のCowburnは、強磁性細線中の磁壁の運動を制御することによって論理回路を試作した(初日招待講演:Nanometer Scale Magnetic Logic Structures for Information Processing)。強磁性細線を曲げたり、あるいは交差させたりすることにより、細線中の磁壁の運動を制御し、論理回路を形成した。この試みは、以前にも同グループによって報告されているが、今回あらたに「Crossover」「Fan-Out」「DW-Diode」の各素子が紹介され、これらの素子を組み合わせたやや複雑な回路が発表された。また、このような素子をデザインする際には、動作磁場領域を確保することが大切であると強調された。
  どちらのロジック素子も原理的な検証の段階で、具体的なデバイス化には解決すべき問題は山積している。しかし、このようなMRAM以後の新機能スピントロニクス素子への試みは今後重要となると思われる。

(産総研 長浜 太郎)