1.05

1.05 最近の国際会議から:MORIS2004

CPPスピンバルブの特性にスピン注入磁化反転効果が影響

  SeagateのCovingtonはCPPスピンバルブにおいて、スピンモーメント移動により誘起された磁化反転及びノイズに関する調査結果を報告した(01aA-01 Spin Momentum Transfer in CPP Spin Valve Read Sensors)。

  磁化反転を誘起する方向へのスピン偏極電流の注入によって~6 GHz近傍にノイズピークが出現することが見出され、また自由層と固定層が直交した読み取りヘッドに近い磁化状態での1/fノイズの増加等も報告した。結論として、電流によるスピンモーメントの移動はCPPスピンバルブヘッドの性能に影響を与える可能性があり、例えば、磁化の反転を抑制するために(感度を犠牲にしても)、より強いハードバイアスが必要となる可能性があると述べた。

  本効果に関しては、デュアルスピンバルブにおいてはスピントルクがキャンセルされるとの理論的考察もあることから、その詳細検討も必要と思われる。MRAMでは書き込み方法として期待される本効果も、CPPヘッドでは抑制する術(もしくは上手く利用する術)を見つけなければならない。しかし、それ故に重要性は変わらないともいえ、その理解は重要である。

(富士通研究所 大島弘敬)

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