119.02

分野:
磁性材料
タイトル:
ビスマスフェライトにおいて磁場で制御できる新たな電気分極成分を発見
出典:

東京大学物性研究所プレスリリース
http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/issp_wms/DATA/OPTION/release20150109.pdf
産総研プレスリリース
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20150113/pr20150113.html

概要:
 東京大学物性研究所の徳永らの研究グループは,ビスマスフェライトでこれまで知られていなかった新たな方向の電気分極を発見し,その電気分極が磁場により制御できることを示した。この電気分極は一度磁場を加えると元と異なる状態に変化し,磁場を除いた後でも変化後の状態を保持し続けるため,磁気メモリ材料への応用が期待される
本文:
 

磁性と強誘電性が共存するマルチフェロイック特性を室温で示すビスマスフェライトについて,東京大学物性研究所の徳永らの研究グループは産業技術総合研究所,福岡大学,上智大学,青山学院大学と協力して,強磁場下で磁気的および電気的応答を精密に調べ,これまで知られていた結晶のc軸と平行な電気分極のほかに,これと垂直な電気分極が存在すること,そしてこの新たな電気分極が磁場によって制御可能であることを明らかにした。
この物質が室温でマルチフェロイック状態にあることは広く知られていたが,実用上は磁性と誘電性の片方を変化させたときにもう片方も変化する性質が重要となる。ビスマスフェライトでは安定な三つの磁気構造があるが,磁場を加えることによりこの三つの状態のうち一つを選択的に実現できる。それにともなって,磁気秩序に付随する電気分極も120度ずつ回転した三つの状態のうち,一つを選択できる。一度磁場を加えて状態を変えると,磁場を取り除いた後でも変化後の状態が続くため,不揮発性メモリとしての性質を備えている。この電気分極は永久磁石による磁場程度ではほとんど変化しないため,実用的なメモリ材料として考えたとき,動作の安定性や多値記憶が可能な点などで利点があると考えられる。

(岩手大 三浦健司)