99.01

分野:
磁性材料
タイトル:
Nd-Fe-B焼結磁石の2粒子粒界間Ndリッチ相の磁性理解が進展
出典:
日本金属学会2013年春期講演大会講演概要
 
 
概要:
 日本金属学会春期大会のシンポジウム「永久磁石開発の元素戦略-材料設計の技術課題」で高輝度光科学センターと日立製作所がそれぞれ軟X線MCDと Spin-SEMにより独立にNd-Fe-B系焼結磁石の2粒子間粒界Ndリッチ相の磁性計測結果を報告し、強磁性であるという結果を報告した。
 
 
本文:
 Nd-Fe-B焼結磁石の保磁力を決定づけるとされている厚さ約2nmの2粒子間粒界Ndリッチ相の磁性については、これまでに物質・材料研究機構の三次元アトムプローブによる組成分析に基づいて作成された同等組成のスパッタ薄膜が示す磁性から、強磁性であることが示唆されている(H. Sepehri-Amin et al. ,Acta Mater. 60 (2012) 819)が、日本金属学会春期大会の3月28日と29日の2日間にわたり東京理科大学で開催された公益社団法人日本金属学会と元素戦略磁性材料研究拠点との共催シンポジウム「永久磁石開発の元素戦略-材料設計の技術課題」で、高輝度光科学センターの中村哲也氏と日立製作所中央研究所の孝橋照生氏がそれぞれ独立に実施した軟X線MCD(高輝度セ)と Spin-SEM(日立中研)によるNd-Fe-B系焼結磁石の2粒子間粒界Ndリッチ相の磁性計測結果に基づいて、強磁性であるという結果を報告した。いずれの計測手法も表面から放出される2次電子を利用して磁気分極を計測する手法であり、報告された研究では表面から0.5nm~2.5nmの領域の情報が得られるという特徴を活用して、超高真空中で粒界破断した試料のNd2Fe14B型粒子表面に残留した2粒子間粒界Ndリッチ相の磁化計測を行い、XMCDではFeの磁気モーメントが約1.5μB、Spin-SEMでは磁化が主相の29~39%と報告した。 また、独立行政法人物質・材料研究機構のH. Sepehri-Amin氏はNd-Fe-B系超急冷合金熱間塑性加工磁石の2粒子間粒界Ndリッチ相の組成分析結果と材料の保磁力間の関係、および、観察組織に基づいたモデルを用いた2粒子間粒界相の磁性と保磁力の関係についてのマイクロマグネティックスシミュレーション結果から、粒界相を非磁性化することにより保磁力の増大が期待できることを示した。これらの研究は、Nd-Fe-B系異方性磁石材料のさらなる高保磁力化の可能性が2粒子間粒界Ndリッチ相の磁性の制御にあることを示すものとして注目される。

((独)物質・材料研究機構 元素戦略磁性材料研究拠点 広沢 哲)