77.01

分野:
磁性材料
タイトル:
高周波磁界センサ用Bi置換ガーネット薄膜の磁気光学特性と強磁性共鳴
出典:
“Magneto-optical effect and Ferromagnetic Resonance of Bi-Fe Garnet for High Frequency Electromagnetic Sensor”, N. Adachi, et al., Digests of 55th MMM Conference, DW-13, (2011).
 
 
概要:
高周波磁界分布の可視化を実現するためのガーネット材料を開発し、Bi置換ガーネットが優れた特性を有することを示すとともに、Gaの添加によりヴェルデ定数を改善できることを示した。また、強磁性共鳴の半値幅がGa添加により30Oeまで小さくなり、強磁性共鳴を利用した磁界分布観測に有利であることを示した。
 
 
本文:
ICなどからの高周波漏れ磁界を可視化するために、金属プローブに比べて侵襲性の低いガーネットの光学効果を利用した手法が検討されている。これは被測定磁界中におかれたガーネットの磁化変化を磁気光学効果で観測するものである。この測定にはガーネットが大きなファラデー回転角を持つと同時に、鋭い強磁性共鳴プロファイルを持つ必要がある。これにより、ガーネットの強磁性共鳴周波数に一致する周波数の被測定磁界に対する測定感度を高めることができる。さらに直流磁界印加によりその測定周波数をスキャンさせ、周波数分布を計測することができる。

名古屋工業大学の安達らはこれまでにこの手法に適したガーネットの開発を行っており、特にBi置換ガーネットに関する検討を進めている。試作されたBi完全置換ガーネットは2kOeの飽和磁界で6度毎ミクロンの大きなファラデー回転角を持つ。一方これにGaを添加することにより、ファラデー回転角は6度毎ミクロンをほぼ維持しつつ飽和磁界が1kOe 小さくなる膜や回転角は2.5度毎ミクロンまで小さくなるものの飽和磁界が0.4kOeまで小さくなる膜が作製でき、目的に応じてヴェルデ定数を制御することが可能となってきた。加えて、強磁性共鳴周波数の半値幅はBi完全置換ガーネットが200Oe程度であるのに対し、Ga置換により30Oeまで小さくなる。これは高周波磁界計測の際の感度が高いこと、ならびに被測定磁界の周波数分離分解能が高いことを意味し、高周波磁界可視化用材料として期待されるものである。

(東北大学 石山和志)