18.05

分野:
ソフト磁性材料、薄膜・微粒子、パワーマグネティックス
タイトル:
粉体粉末冶金協会平成17年度秋季大会講演概要
概要:
 2005年11月14日~16日、粉体粉末冶金協会平成17年度秋季大会が静岡大学工学部の後援によりアクトシティ浜松コングレスセンターにて開催された。今回は「磁性材料の作製・評価・応用」および「高性能永久磁石とその応用」と題して2つの講演特集が組まれマグネティクスに関する研究発表が行われた。本稿は「磁性材料の作製・評価・応用」における発表概要をまとめたものである。
本文
  静岡大学工学部の後援によりアクトシティ浜松コングレスセンターにおいて粉体粉末冶金協会平成17年度秋季大会(2005年11月14日~16日)が開催された。今回は講演特集として「磁性材料の作製・評価・応用」および「高性能永久磁石とその応用」と題してマグネティクスに関する研究発表が2日間に渡って行われた。本稿は講演特集「磁性材料の作製・評価・応用」における発表内容を講演概要集をもとにまとめたものである。

 本セッションは3件の受賞記念講演を含む30件の研究発表が行われた。初日は技術功績賞を受賞された鈴木惟司 氏(FDK株式会社)により「民生用フェライトコアの製造技術の確立」と題してディスプレイ用偏向ヨークコアの高性能化にあたり、造粒法の改善、化学組成および各種製造プロセスの最適化により低損失コアの開発に成功したことなどが発表された。これに続いて、タムラ製作所、東京理科大、埼玉工大、村田製作所の研究グループからはチップデバイスへの応用を考慮したスピネル系フェライト材料の低温作製と特性向上について発表された。村田製作所の発表ではNiCuZnフェライトにLi系ガラスとCoを添加することで高周波特性および透磁率の温度特性の改善が報告されたことが興味深い点である。また、前回に比べ発表件数は減少したものの、埼玉大、兵庫県立大、岡山大のグループからはスピネル系フェライトではカバーできない高周波領域での利用を目指した六方晶系フェライトに関する研究発表が行われた。

 午後のセッションは技術進歩賞を受賞された山本節夫 氏、松浦満 氏(山口大)、岡田 繁信 氏、下里義博 氏(島津製作所)の研究グループから「ECRスパッタ法によるフェライト薄膜の低温高速製造技術と量産対応型ECRスパッタ装置の開発に関する研究」と題して開発したECRスパッタ装置により、高品質なフェライト薄膜をより低いプロセス温度で作製可能になったことが紹介された。また、この技術を利用した量産対応機が製品化され酸化物や窒化物の薄膜作製に広く対応できるであろうことが報告された。これに続き、ソニー、東北大の研究グループからはエアロデポジション(AD)法を用いたFe/フェライト複合膜に関する発表が行われ、比較的膜厚の厚い磁性膜の高速堆積に有利である点が報告された。また、東工大の研究グループからは、フェライトめっき法に成膜されたスピネル系フェライト膜のGHz帯域における磁気特性に関する3件の報告があった。また、同じく東工大の研究グループから、自己組織化により規則配列したFePt粒子をカーボンコーティング後アニールした薄膜の磁気特性に関して報告がなされた。これらの発表の他、磁気抵抗、超伝導、低次元磁性体、バイオ応用などの講演が行われた。

 2日目は技術進歩賞を受賞された島田良幸 氏(住友電工焼結合金)、西岡隆夫 氏、池ヶ谷明彦 氏(住友電気工業)の研究グループから「高性能圧粉磁心材料の開発」と題して、近年、自動車分野における需要が増して注目を集めている圧粉磁心の高性能化に関して、高密度充填プロセス、高絶縁性バインダの開発、および高温下における機械的強度の改善を行ったことが報告された。この発表に続いて、エプソンアトミックス、三菱マテリアル、神戸製鋼などの研究グループから計7件の圧粉磁心の高性能化およびそれを用いたデバイスの特性評価に関する発表が行われ、この分野に対する産業界の関心の高さが伺われた。

(埼玉大・工 柿崎 浩一)