76.01

分野:
磁気応用
タイトル:
時変分散ARモデルを用いた誘発脳磁場のモデル化と推定
出典:
Modeling and Estimation of Evoked brain signal with Time-Varying Auto-Regressive model, Yutaka Uno, Kaoru Amano and Tsunehiro Takeda, 25th Japan Biomagnetism and Bioelectromagmagnetics Society (Kashiwa, Japan)
概要:
 Brain Computer Interface技術への関心の高まりにつれて、単一試行脳磁界(MEG)データを用いた誘発脳磁場の解析が試みられている。しかし、現在のMEGシステムに施されている種々のノイズ対策をもってしても、そのノイズの影響を排除しきれていない。この問題を解決するため、高い時間精度を持つMEGデータの特性を利用し、平均的な背景雑音のモデルを学習しておき、その背景雑音モデルと単一試行データを用いて、誘発脳磁場のモデル推定とその信号成分の推定を行うことでノイズ成分を低減する手法を提案した。
本文:
 本研究は、誘発脳磁場のパワーが時間によって大きく変化する特性を誘発脳磁場モデルに反映させた。それに伴って、この誘発脳磁場の時系列モデルの推定器として逐次モンテカルロ法を用いることになった。

逐次モンテカルロ法は与えられたベイズモデルのシミュレーションと観測データから計算されるシミュレーションの適合度(尤度)をもとに、複雑なモデル推定が行えるアルゴリズムである。そのため具体的には、MEG計測を近似するベイズモデルを作成し、また、動的に変化するMEGデータの成分の時間発展を記述する、既に学習済みの背景雑音モデルと未学習の誘発脳磁場モデル(の構造)を与えることで、MEG計測データのシミュレーションを行う。実際に得られた観測値の系列から、ベイズモデルの対数尤度が計算でき、これを用いることで多数のシミュレーション結果から、]MEG観測データ系列よりよく説明できる誘発脳磁場モデルとそのモデルによる誘発脳磁場の推定値を得ることができる。

本手法の有効性を確かめるために、現実のMEGシステムノイズに、人工的に生成した誘発脳磁場信号を埋め込んだデータを用いて、本手法で推定した誘発脳磁場の推定結果を示した。その結果、脳磁場のパワーの変動を含まない従来法による誘発脳磁場の推定結果より、本手法は優れた推定が得られることを示した。

(東京大学大学院 宇野 裕)