トップページ > 技術情報 > 技術情報サービス > 磁気応用 > 14.04 (オーム誌96巻第7号(2005年7月号)12-13ページ、ヘッドラインレビュー「産業技術」 )

14.04 (オーム誌96巻第7号(2005年7月号)12-13ページ、ヘッドラインレビュー「産業技術」 )

分野:
パワーマグネティックス
タイトル:
田形磁心による可変インダクタを利用した系統電圧調整器の開発に成功
概要:
 東北大学、東北電力(株)、北芝電機(株)らのチームは、田形磁心による可変インダクタを利用して6.6kV三相300kVA級の系統電圧調整器を開発し、運転試験において最大300kVarの無効電力調整が可能であること、電流歪みも小さく、制御回路損失も含めた全制御時の総損失が4%以内と実用的な範囲に押さえることができることを確認し、本方式による系統電圧調整器の有効性を実証した。
本文:
 従来の系統電圧調整は、主として変電所に設置される負荷時タップ切り替え変圧器や、線路途中に設置されるSVRのような機械式タップ切り替えにより行われているが、制御が段階的であることや、タップ切り替えによる時間遅れが生じることから、急峻な電圧変動への対応は困難である。さらに近年では、高速で連続的な制御が可能なSVCやSVGなどの電圧調整器が開発され、電力系統への導入も進みつつあるが、半導体スイッチングデバイスを利用するため、ノイズ除去のための高調波フィルタを必要とする。
これに対し、東北大学の一ノ倉教授、東北電力(株)、北芝電機(株)らのチームは、田形磁心による可変インダクタを利用して系統電圧の調整を行うため、6.6kV高圧配電系統に適用が可能な、三相300kVA級の系統電圧調整器を開発し、運転試験を行った。田形磁心による可変インダクタは、ケイ素鋼板による打ち抜き又は積み鉄心で田形に構成した磁心に、交流巻線と制御巻線を施したもので、制御巻線に直流電流を流せば、磁性体の非線形磁気特性のため交流巻線のインダクタンスが変化する。運転試験では、直流制御電流0~120Aに対し、無効電力がほぼ0~300kVarまで直線的に制御されること、電流歪みも小さいことが確認された。制御回路損失も含めた全制御時の総損失は4%以内と実用的な範囲に押さえることができている。
今回開発した系統電圧調整器は、電流歪みのきわめて小さい可変インダクタンスを使用しているため、高調波フィルタを必要としない非常にシンプルな構成で、堅牢かつ信頼性の高い装置である。さらに、磁心製造には汎用の積み鉄心の製造技術が適用できるため、大容量化も容易で大幅なコスト低減も期待できる。

(福島大学 岡沼信一)