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【分野】 磁気記録

【タイトル】2 Tbit/in2熱アシスト磁気記録の実証

【出典】
“Heat Assisted Interlaced Magnetic Recording”
S. Granz et al. 第28回磁気記録国際会議(TMRC 2017), 講演番号D3
IEEE Trans. Magn. (in press), DOI: 10.1109/TMAG.2017.2748719

【概要】
Seagate Technologyは熱アシスト磁気記録(HAMR)を用いて、約2 Tbit/in2の記録密度をスピンスタンドにより実証した。これはHAMRと瓦書き記録を併用して達成したものであり、現行の垂直磁気記録の面記録密度の約2倍の値である。

【本文】
 2005年に実用化された垂直磁気記録の面記録密度は、すでに1 Tbit/in2を超え、原理的な限界に近づいていると考えられる。今後、1 Tbit/in2を大きく超える面記録密度を実現し、データストレージの低コスト化・省エネルギー化に貢献するためには、熱アシスト磁気記録(HAMR)やマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)といったエネルギーアシスト記録技術が不可欠である。
 Seagate Technologyは、今年8月に開催された磁気記録国際会議(TMRC 2017)において、HAMRと瓦書き記録(SMR)を併用することにより、スピンスタンドを用いて最高1.97 Tbit/in2の面記録密度を達成した。線記録密度は2194 kBPI、トラック記録密度は900 kTPI、ディスクの回転数は4200 rpmである。瓦書きとは異なるinterlaced magnetic recording (IMR)という記録方法では1.6 Tbit/in2 (2000 kBPIおよび800 kTPI)と面記録密度は劣るが、IMRはSMRに比べ磁気ビットの曲率が小さいことが利点であるという。SMRやIMRを用いないHAMRによる面記録密度は1.15 Tbit/in2 (~1700 kBPIおよび~700 kTPI)という。
 現在の垂直磁気記録HDDにおける面記録密度1.06 Tbit/in2 (2357 kBPIおよび450 kTPI)(中、阿部 東芝レビュー Vol. 50 No. 8 p.25 (2015) )と比べると、HAMRのトラック記録密度が高いことがわかる。これはレーザースポットにより、記録ビットの幅を狭めることができるためである。一方、現在のHAMRによる線記録密度は垂直磁気記録に比べ劣っている。その理由は不明であるが、FePt媒体のグラニュラー径やキュリー温度の分散等が関係しているのかもしれない。Seagate Technologyは2018年暮れまでにHAMRを用いたHDDを市場に投入するとアナウンスしており、今度の展開が楽しみである。

(物質・材料研究機構 中谷友也)