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【分野】磁気記録

【タイトル】世界最大容量12テラバイトのハードディスクドライブ

【出典】HGST ウェブサイトhttps://www.hgst.com

【概要】
米国Western DigitalのHGSTブランドは、記憶容量の新記録である12テラバイトの3.5インチハードディスクドライブ(HDD)のサンプル出荷を始めた。これはヘリウムガスを充填した筐体に垂直磁気記録ディスクを8枚搭載したもので、データセンターでの使用が想定されている。

【本文】
Western DigitalのHGSTブランド(2012年まで日立グローバルストレージテクノロジーズ)は、世界最大となる12テラバイトの3.5インチHDDのサンプル出荷を開始した。記録方式としては垂直磁気記録(PMR)であり、ヘリウムガスを充填した厚さ26ミリの筐体に8枚ものディスクを搭載している。最大面記録密度は864ギガビット/平方インチとなる。PMRは従来技術ではあるが、瓦書き記録(Shingled magnetic recording, SMR)に比べ高速であることから、データセンター等のサーバー用HDDとして有効である。また、来年半ばには14テラバイトのHDDも登場するという。
あまり話題になっていないが、HDDの製品レベルでの面記録密度はすでに1テラビット/平方インチを大きく超えている。例えばSeagateが今年11月に発表したモバイル用2.5インチHDDの面記録密度は1.3テラビット/平方インチである。記録方式については言及されていないようであるが、SMRを採用していると思われる。なお、今回の12テラバイトHDD(864ギガビット/平方インチ)との面記録密度の大きな乖離は、記録方式だけでなく、ディスクの大きさと回転速度、および製品の用途に応じて要求される信頼性の違いによるものである。
過去1、2年で日本国内のHDD関連産業は大きく縮小しており、残念であるが、HDDの製品技術は着々と進化している。今後、面記録密度が1.5テラビット/平方インチを大きく超えるためには、熱アシストやマイクロ波アシストなどのアシスト記録、再生ヘッド、信号処理など要素技術のブレークスルーが必要であろう。

(物質・材料研究機構 中谷友也)

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