90.02

分野:
磁気記録
タイトル:
Intermag2012報告(磁気記録分野を中心に)
 
 
概要:
 2012年5月7-11日、カナダのバンクーバーにて、Intermag2012が開催された。Intermag (International Magnetics Conference)は、IEEE Magnetics Society の主催する磁性関連分野の国際会議であり、当分野で最大の会議の1つである。 MMM (Conference on Magnetism and Magnetic Materials)やICM (International Conference on Magnetics)と比べて、より応用指向であることを特徴とする.通例は毎年この時期に開催されるが、3 年毎にMMM Conference との合同会議を1月に開催しており、来年はこの形態での開催(シカゴ)となる。参加者は、1215人(3 日目時点)で、その58%はアジアからの参加であった(欧州:25%、米国:17%)。また、採択論文は1381件で、うち日本から17.6%と、米国の14.7%、中国の12.9%、韓国の12.5%を大きくリードしている。特に東北大から48件の発表があり、震災後の復興の兆しを感じさせるものであった。
 
 
本文:
 今回のIntermagでは、モータ/アクチュエータのセッションが目立っていた。日本では、自動車用モータ向け耐熱・高Hc材料(ネオジム磁石)への注目度が高いが、米国では大型風力発電向けの高Bs材料(Fe系)を狙った研究が注目されている模様。HDD関連のセッションは、12件(うちシンポジウム1件)で、全体の1割(HGST:20件、東芝:13件、Seagate:11件、日立:10件、WD:6件、TDK:4件)であった。各社とも、記録素子構造のチューニング等の現状技術の実用限界に各社苦労しており、1.5-2Tb/in2技術は依然不透明である。なかでは、再生センサとしてGaOをベースとするCPP-GMR(HA-02)が1.5Tb/in2級の可能性を示していた。2Tb/in2級以上は、ナノコンタクトCCP-CPP-GMR、Heusler合金、スピントロニクス型が候補となっている。5Tb/in2級技術は、BPM技術として:2.5”全面円周配向媒体試作(CS-11)やFePt円周配向試作(CS-10)、アシスト記録+BPMのフィージビリティ確認(CC-11、EU-01)、三層構造素子による革新再生素子(EC-09)が発表された。
 その他の注目講演は以下の通り。
 XA01-03:Quantum Information Processing using spins (Tutorial)、”量子コンピュータ”のチュートリアルセッションが設けられ、原理と最初の製品紹介があった。現状、確率計算でアルゴリズムが複雑となるが、超並列処理による超高速性のメリットがあり、今後の進展が注目される。
 CC-01:Ultrafast heating as a sufficient stimulus for magnetization reversal. (University of York) 、フェムト秒パルスレーザーパルスを照射し、GdFeCoの磁化が数ピコ秒で反転することが確認された。光パルスは、直接電子系を励起する模様。Fe副格子の磁気モーメント(電子)とGd副格子の磁気モーメント(電子)の加熱・冷却速度が異なるため、光のみでの磁化反転が実現されている。

(日立製作所 五十嵐万壽和)