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12.05(Intermag Asia 2005、April 4-8, Nagoya, Japan)

タイトル:
製品化にともない垂直磁気記録媒体の発表内容が大きく変わりつつある(Intermag名古屋)
概要:
 垂直磁気記録媒体の製品化が開始される年にあたる今回のIntermag(名古屋)の磁気記録媒体に関するセッションでは、垂直媒体とパターンド媒体を始めとする次世代技術関係のセッションが多く、これらのセッション中の垂直媒体に関する発表数は60件を超えていた。現在、垂直媒体の主流となっているCoPtCr-SiO2媒体等のグラニュラ系の媒体の高性能化には、短い期間の内に、面内媒体の作製技術・手法が一気に取り入れられながら製品開発が進んでいる様子が伺われた。
本文:
 垂直磁気記録媒体の製品化が開始される年にあたる今回のIntermag(名古屋)の磁気記録媒体に関するセッションでは、垂直媒体とパターンド媒体を始めとする次世代技術関係のセッションが多く、これらのセッション中の垂直媒体に関する発表数は60件を超えていた。
 発表内容を見ると、現在の垂直媒体の主流となっているCoPtCr-SiO2媒体あるいはCoPtCrO媒体(これ以降、グラニュラ媒体と呼ぶ)については、その特性をさらに向上させるための手法・技術等に関する内容が多かった。面内媒体で行われてきたような、特性の違う二種類のグラニュラ膜を重ね合わせる媒体の発表も何件か現れ、短い期間の内に、面内媒体の作製技術・手法が垂直媒体の作製技術として一気に取り入れられながら製品開発が進んでいる様子が伺われた。また、垂直媒体の特徴を活かしながらグラニュラ媒体の性能をさらに向上させるcomposite媒体等の発表もあったが、いずれもその実証には未だ到っておらず、今後の進展が期待される。軟磁性裏打ち層(SUL層)については、以前に比べ裏打ち層から発生するノイズ等に関する発表は件数が減ってきており、学会では発表し難い耐食性等の工業的な課題に焦点がシフトしている印象を受けた。
 トラック密度を上げるための主要技術であると考えられるディスクリート媒体は、作製手法・記録再生特性の評価など技術の向上が伺われたが、発表件数は極めて少なかった。低コスト化等も合わせた製品開発が必要とされているため、現段階では学会レベルで発表し難い内容であることも考えられる。一方、パターンド媒体への応用を意図した硬質磁性膜ドットの磁化機構については、発表件数はそれほど多く無いものの、その解釈は着実に進んできている。ドットのサイズ・形状に合わせた磁性膜の特性の最適化だけでなく、スイッチング分散の抑制など、グラニュラ系媒体材料とは違った観点からの媒体設計が必要となるが、これらについては研究の方向性が見えてきたように思われる。信頼性の確保を考えれば、今後は、ダイナミクスと関連させた議論の展開も必要となるであろう。
 媒体用の高異方性材料薄膜としては、従来からのCo/(Pt, Pd)等の人工格子膜の他に、永久磁石系の材料薄膜の薄膜化と高性能化に関する発表が多くなっている。この中で、FePt, CoPtの規則化合金に関する発表は、媒体のセッションだけでなく数多くのセッションで発表が行われており、概算でも40件を超えている。規則化のメカニズム、サイズ効果等、物性的にはかなりの部分が明らかになりつつあるように思われる。しかし、媒体化という観点から見ると、高すぎる保磁力をどう活かすのか、パターンド媒体化あるいは熱アシストをするのかしないのか・・・等、この規則化合金を媒体として如何に使いこなすのかといった観点の発表は少なく、今後の大きな課題と思われる。

(東北大学電気通信研究所 島津武仁)