86.02

分野:
磁気記録
タイトル:
斜め磁気異方性を有する磁気記録媒体の作製技術の開発に成功
出典:
“Fabrication and magnetic properties of CoPt (101) films for bit patterned media with inclined anisotropy toward recording density of 5 Tbit/in2”
K. Shintaku, S. Chiba, T. Kiya and K. Yamakawa
Digest of the 56th Magnetism and Magnetic Materials Conference, DQ-01 (2011).
 
概要:
 秋田県産業技術研究センター(AIT)の新宅らはCo合金のc軸を面直に対して傾けた磁気記録媒体の作製プロセスの開発に成功した。
 
 
本文:

 垂直記録方式において、記録磁化を面直に対して斜めに傾けることで書き込み特性が改善し記録密度を向上できる可能性があることが以前から報告されているが、記録磁化を斜めに傾けた状態を実現できる磁気記録媒体の作製例はこれまで報告されていなかった。秋田県産業技術研究センター(AIT)の新宅らは、記録磁化を斜めに傾けた状態を実現可能な媒体として、Co合金の結晶c軸を面直に対して傾けた磁気記録媒体の作製プロセスの開発に成功した。

 媒体はスパッタによりガラス基板上にTa層、Pt層、CrPt合金層、CoPt合金層の順に成膜し、Cr結晶の(110)面の上にCo結晶の(101)面をエピタキシャル成長させることで面直に対しておよそ60°傾いたc軸配向を実現した。CrPt合金層とCoPt合金層のPt濃度は共に19 at.%で、Crに添加するPt濃度をCoに添加するPt濃度に合わせることでの格子定数を整合させ、高い結晶配向性を実現した。ただし、上記の構造で成膜しただけでは、面直に対するc軸配向は斜めになるが、面内に対してはc軸の方向がバラバラとなり記録密度の向上にはつながらない。記録密度の向上のためには面内方向にも一様なc軸配向とする必要があるが、面内方向の一様配向を実現する方法として、上記の構造においてスパッタの成膜角度を斜めにすることが有効であることがわかった。基板をスパッタターゲットに対して60度傾けて成膜することで面内のランダム配向が解消し、CoPt合金結晶を面内一方向に揃えることができた。開発した媒体にビットパタン加工を施すことで、高い記録密度を実現できる見込みである。

(高輝度光科学研究センター 小嗣真人)