68.03

分野:
磁気記録
タイトル:
第170回研究会(第4回光機能磁性デバイス・材料専門研究会)「光と磁気のシナジー技術」~次世代ストレージ・光機能磁性デバイス実現のための新技術動向~
出典:
http://www.spring8.or.jp/ext/ja/iuss/htm/text/06file/adv_mag_mat-3.htm
 
 
概要:
 2010/1/29化学会館にて開催、参加者は59名であった。研究会では,高速磁化反転現象・光励起磁性現象・スピンフォトンメモリ・メタマテリアル・磁気光学空間光変調器などの光機能磁性デバイス分野と,近接場やマイクロ波を利用したハイブリッド記録デバイス・記録媒体分野について,計10件の講演があった.研究背景や動作原理などについて詳細な説明があり活発な議論が行われた.
 
本文:
  1. 「フェリ磁性GdFeCo合金の磁化ダンピング特性」
    ○塚本 新1,2,佐藤哲也1,清水崇博1,鳥海紳悟1,伊藤彰義1 (1日大,2JSTさきがけ)
    フェムト秒円偏光による逆ファラデー効果を用いた磁化反転に関する実験結果が示された.フェリ磁性GdFeCo薄膜について,理論から予測される角運動量補償点近傍における歳差運動周波数およびダンピング定数の増大を確認したこと,またフェムト秒円偏光による磁化反転過程の観察も行い,上記のダンピング定数が大きい材料でサブpsでの超高速磁化反転が生じていることも報告された.

  2. 「円偏光パルスで誘起された反強磁性体のスピン歳差運動」
    ○佐藤琢哉,飯田隆吾,志村 努,黒田和男,植田浩明,上田 寛 (東大)
    反強磁性体NiOにフェムト秒円偏光パルスを照射することで,反強磁性スピン振動が誘起されることを実験で確認したことが報告された.これは、逆ファラデー効果により円偏光パルスが実効的な磁場パルスを生成し,反強磁性ベクトルに作用したと考えられる.

  3. 「自己集積ナノシリカ球上のFePt」
    ○伊藤彰義,塚本 新,葉 日宏,大亀宗壽,水澤謙太 (日大)
    高密度磁気記録媒体の材料候補であるFePt規則相ナノ粒子を配列制御する目的で,高分子ミセルによるナノ凹部配列(NDA),ナノシリカ球配列下地(SASP),Flat-SiO2下地の三種の下地上でFe(Cu)Pt粒の急速昇温熱処理形成を行い,面密度はSASP>NDA>Flat-SiO2の順に大きく,最大5.4T particle/in2が得られたことが報告された.

  4. 「高速ネットワーク用光バッファーメモリとして機能するスピン‐光子メモリの提案」
    ○V.Zayets,J.C.Breton,斉藤秀和,湯浅新治,安藤功兒 (産総研)
    光通信用の光バッファーメモリとしての新たなスピン・フォトンメモリの提案について報告された.光パルス列から円偏光で変調して抽出した450fsのインターバルの光パルスをスピントルクメモリ技術で分離して保存した.この手法で2.2Tbit/secで実現できることを実証し,更に3μm×4μmのFeを(Al,Ga)As光導波路に埋め込んで4.8dBのSNRで信号を再構築できることが報告された.

  5. 「プラズモニック・メタマテリアルとその加工法」
    田中拓男 (理研)
    マイクロ波から始まったメタマテリアルの可視域応用を目指したアプローチについて報告された.可視域では金属材料を完全導体で扱えないため,材料の分散特性を取り入れ,表皮深さを記述し,構造による特性を評価することで,可視域ではあるシンプルな共振器構造が良いことを見いだした.メタマテリアルに適した3次元ナノ構造金属を作れる技術が無いので,二光子吸収を使ってレンズ焦点位置に金属を形成する技術開発が紹介された.

  6. 「マルチフェロイックフォトニック結晶の光変調機能」
    ○後藤太一1,山口貴志2,久米章博1,佐藤 洋1,高木宏幸3,井上光輝1 (1豊橋技科大,2TSフォトン,3豊田高専)
    磁気光学空間光変調器の研究成果が報告された.フォトニック結晶と磁気光学効果による位相効果を積極的に組み合わせ,これとPLZTとを組み合わせることで,磁性体を使わないEOSLMよりも低電圧駆動で高効率のSLMを実現できることを示した.更に,Tb Al Garnetを利用することで,可視域でも高性能のSLMを実現できる可能性を示した.

  7. 「熱アシスト磁気記録のための導光構造」
    ○平田雅一,田邉幸子,朴 馬中,大海 学,千葉徳男 (セイコーインスツル)
    熱アシスト磁気記録のための三角断面スポットサイズ変換器(SSC)と三角開口による近接場光発生について報告された.計算機シミュレーションと実験から,SSCにより高効率でビーム径を縮小できること,および三角開口近傍で高強度の近接場光を発生できることが示された.

  8. 「熱アシスト磁気記録用集積光学系の開発」
    ○松本拓也,清水淳一郎,難波入三,岩邊泰彦,荒井 聡,高橋俊雄,佐々木重幸,中村滋男,赤城文子,宮本治一 (日立)
    三角形Auプラズモンアンテナを用いた熱アシスト磁気記録ヘッドとこれを用いた熱アシスト書込みの結果が報告された.レーザーダイオードを搭載した高効率記録ヘッドを試作し,このヘッドが媒体上を安定浮上すること,およびCoB/Pd微粒子媒体に熱アシスト記録ができることを実証したことが報告された.

  9. 「光アシスト磁気記録に適した近接場光発生器の設計」
    ○大澤 耕1,西田直樹1,波多野 洋2 (1コニカミノルタテクノロジーセンター,2コニカミノルタオプト)
    SiコアとSiO2クラッドから成るスポットサイズ変換導波路と三角形Auプラズモンアンテナを組み合わせることで高効率なヘッドが作製できることが報告された.更に,これらと磁気極の位置関係を検討し,近接場光スポットを磁気極の近傍120nmに近づけられることが示された.

  10. 「マイクロ波アシスト記録のための効率の良い高周波磁界印加方法案」
    ○五十嵐万壽和,鈴木良夫,宮本治一,城石芳博 (日立)
    LLG方程式を用いて,マイクロ波アシスト磁気記録のための効率の良い高周波磁界印加方法を検討した結果が報告された.磁化反転アシストのための高周波回転磁界成分を,磁化に垂直に,磁化歳差運動に同期して印加することで,短時間に磁化反転できることが示された.

 

 

(東芝 喜々津 哲、日大 中川活二、名大 加藤剛志)