50.01

分野:
磁気記録
タイトル:
10テラビット/平方インチの可能性
出典:
TMRC2008 (The Magnetic Recording Conference 2008) Digests
 
本文:
  7月29日から31日にかけて、シンガポールにおいてTMRC2008 (The Magnetic Recording Conference 2008)が開催された。その中で注目されたのはR. Wood氏を中心としたグループにより提案された10テラビット/平方インチという超高密度記録を実現できる可能性を有する記録方式であった。

 2次元記録(TDMR: Two Dimentional Magnetic Recording)と命名されたその提案方式は、磁気的記録幅より狭いシフト量でチャネルビットを重ね書きするShingle writingが1つの特徴である。

 TMRCにおけるWood氏の発表によると、ユーザが取り扱う10ビットを二次元的に40のチャネルビットに符号化して記録する。このとき上述した重ね書きを施すが、磁性結晶粒子1つにチャネルビット1つを記録することに限りなく近い超微細記録となる。当然、結晶粒はランダム配置であり、サイズ分散もあるので正確に記録されないチャネルビットが少なからず存在するが、符号化率が低いために十分復号可能であるという。

 この方式実現のために、Wood氏はいくつかの開発事項を併せて公開した。まずは記録素子の角での重ね書き性能が高いヘッド(Corner head)、二次元的に記録されたチャネルビットを高分解能で再生する全方位シールド型再生素子、そして困難であると思われるのが高精度な位置検出技術である。また、ユーザにとってはデータアクセスの待ち時間が長くなることが予想され、それを克服するデータアーキテクチャやインターフェースプロトコルの開発が必要であると結んでいる。

 これまで候補に挙がっていた将来技術にはパターン媒体やエネルギーアシスト記録などがあるが、いずれも記録媒体や記録ヘッドのデバイスの新規設計・開発が重要課題である。一方TDMRの利点は、記録媒体やヘッドはこれまでの延長的な改良であることである。課題も多いものの、今後は将来方式の一つとして検討されていくものと思われる。

(東北大通研 三浦健司)