49.01

分野:
磁気記録
タイトル:
熱アシスト磁気記録媒体にL10構造Fe-Pt規則合金を適用
出典:
ISOM/ODS’08 Technical Digest, TMRC2008 Digest
http://tmrc2008.dsi.a-star.edu.sg/program.asp 等
 
概要:
 シーゲート社はL10構造を有するFe-Pt規則合金を磁気記録膜に適用した媒体を開発し、同社が開発中の熱アシスト磁気記録方式(HAMR)に適用したと発表した。現状で200 Gb/inch2程度の記録面密度を確認済みであり、2009年末には1 Tb/inch2の記録再生デモを行う。
本文:
  米国シーゲートテクノロジー社は、2008年7月に行われた情報ストレージに関する主要学会(ISOM/ODS2008およびTMRC2008)において、熱アシスト磁気記録方式(HAMR)に関する講演を行い、その中でL10構造を有するFe-Pt規則合金を適用した磁気記録媒体を開発したと発表した。これにより、「まぐね」2008年6月号でも特集された遷移金属-貴金属系規則合金薄膜が実用化に向けて大きく動き出したことになる。

 磁気記録膜に用いた磁性材料はFe-Pt合金をベースにCu元素を添加して高規則化度のL10構造としたものである。(001)配向したMgO下地膜上に磁気記録膜を形成することにより、規則合金の結晶c軸が垂直配向し、垂直磁化膜となった。また、この磁気記録膜はカーボンを結晶粒界に含んだグラニュラー構造を有している。TEM像から求めた結晶粒径は約11 nmであり、室温における保磁力は約3 Tと非常に大きい。一方、キュリー温度はCu添加の効果によって約300℃まで下がっており、HAMRに適した磁気特性を備えている。AFMによって測定した表面凹凸はRaで0.3~0.4 nmと平坦性も確保されているため、磁気ヘッドによる記録再生評価が可能である。

 シーゲート社は、この磁気記録媒体に対して同社がHAMR用に開発した磁気ヘッドを用いて記録再生実験を行い、200 Gb/inch2相当の記録面密度を実証した。この時の記録ビット長に対する記録トラック幅の比率(BAR)は約2と小さい。今後、記録媒体の改善とともに近接場光素子の適用によって記録面密度を高め、2009年末には1 Tb/inch2の記録再生デモを行うと予告している。 

(日立製作所 根本広明)