44.02

分野:
磁気記録
タイトル:
ファイルとストレージ技術に関するUSENIX会議、開催される
出典:
Proceedings of 6th USENIX Conference on File and Storage Technologies
FAST’08 ウェブサイト
 
概要:
 富士電機デバイステクノロジーは、ECC媒体と呼ばれるハードディスクの量産を2008年9月ごろから開始する。ECC媒体でさらなる記録密度の向上を狙う。
本文:
 2月26日から29日にかけて、米国カリフォルニア州サンノゼにおいてファイルとストレージ技術に関するUSENIX会議(6th USENIX Conference on File and Storage Technologies, FAST’08)が開催された。

 FASTはデータセンタ等で用いられる大規模ストレージシステム(サブシステム)の構築やその運用技術に関する会議であり、研究対象のほとんどが、比較的安価なHDDを複数台組み合わせて信頼性を確保するRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)を基礎とするものであった。また、口頭発表21件は、分散ストレージ技術やキャッシュ技術、CPUや環境(モバイル用途等)と親和性の高いストレージ技術、大規模ストレージでの信頼性確保や省電力化などの内容を含んでいた。

 W. Jiangらイリノイ大学とNetwork applianceの研究グループは、ストレージサブシステムの故障率について詳細な検討を加えていた。数年間の故障時のログを元に故障原因の分類を行ったところ、故障率の半分近くを占めるのはディスクの平滑性や回転振動などに起因するドライブ内部の故障であった。また次に多いものは物理的な接続不良による障害であった。これらの原因はケーブル損傷やドライブへの電力供給の停止などであった。

 また、昨今のデータ量増大に伴い、データセンタ全体の消費電力に占めるストレージシステムの電力が占める割合は空調設備電力を含めると無視できないくらいに大きくなっており、省電力化が重要な課題として議論されていた。例えば、ストレージシステムの性能を極力落とさずに省電力な不揮発性メモリも用いる手法が提案されていた。ただし、「地球に優しい」のは運用過程での省電力性だけではなく、製造過程、製品配達過程、そして除却費を含めた全経費を考慮しなければならないという意見もあった。

 USENIXは計算機分野の技術者やシステム管理者、科学者などを構成員とする協会であることから、参加者のほとんどが大規模ストレージを構築する、もしくは利用する立場の方であった。すなわち、必ずしも磁性物理・磁性応用を専門とする研究者向けではなかったが、我々HDDを研究する立場からすると、これまで通り記録密度や転送速度を高めることは勿論大事であるが、省電力性能やセキュリティ等の点で付加価値がある記録デバイスやシステムが要求されていることも念頭に置くべきであると考えさせられた。  

(東北大通研 三浦健司)