35.01

分野:
磁気記録
タイトル:
複素帯磁率測定による異方性分散評価
出典:
IEEE Trans. Magn. 43, 627 (2007)
 
概要:
 Seagateの研究者等は,複素帯磁率測定により,垂直磁気記録媒体の異方性分散及び粒度分布を評価し,それらの分散と膜構造そして記録性能との対応を調べた.
本文:
 記録の高密度化を進めていく上で,媒体の異方性分散を低減することは必須である.従来,異方性分散を簡便に求める方法として,磁化曲線による評価が広く採用されてきた.[ IEEE Trans. Magn. 27, 4975 (1991); ibid 39, 590(2003); J. Appl. Phys. 99, 08E705 (2006)]

 しかし最近では,記録層の構成粒子が10 nm以下に微細化してきたため,評価の段階で熱揺らぎの影響が入り本質的な異方性分散評価が困難であった.こうした問題を解決するため,東北大・島津先生のグループは,時間スケールの異なる磁気測定に基づいた本質的な異方性分散の評価法を提案した.[ J. Appl. Phys. 99, 08F905 (2006); IEEE Trans. Magn. 42, 2384 (2006)]

 一方,Papusoiにより提案・定式化された横方向複素帯磁率 (以降TSと記す) による異方性及び粒度分布の分離評価を実現するために[Phys. Lett. A 265, 391(2000)], Seagateの研究者等は極カー効果(MOKE)を利用したTS測定装置を開発した.そして,彼等が開発した垂直磁気記録メディアに適用し,TSの虚数成分の直流磁場依存性から定量的に異方性磁場分散と粒度分散を分離評価した.更に,同法をPt組成の異なるCoCrPtメディアに適用し,(かなり粗い議論ではあるが) 積層欠陥密度,異方性分散,SN比の間に密接な関係があることを実験的に示した.

 異方性磁場分散を定量的に評価し低減することは,今後の高密度化のキーポイントになるが,東北大のパルス磁場を用いた評価法に加え,TS虚数成分評価のように新たな方法が具体化されたことで,研究開発が一層促進されることが期待される.

(東北大 北上 修)