29.02

分野:
磁気記録
タイトル:
熱アシスト磁気記録ヘッド用の光素子の開発に成功
出典:
富士通(株)の10/19プレスリリース
 
概要:
 富士通と富士通研究所は、熱アシスト磁気記録のヘッドに用いる光素子を開発した。熱アシスト磁気記録は、次世代の大容量HDDを支える技術として有望視されている。今回開発した光素子は、多層膜構造を用いることで、100nm以下の光スポット径を実現している。この技術により、HDDのさらなる高密度化が可能となる。
本文:
 富士通と富士通研究所は協同で、熱アシスト磁気記録用のヘッドに用いる光素子を開発した。HDDの高密度記録を実現する為に、垂直磁気記録方式が実用化されているが、1Tbit/in2を超える高密度記録を達成する為に熱アシスト磁気記録方式が提案されている。この方式は、磁気記録と光による熱記録を併用した磁気記録方式であり、局所的に加熱した領域に情報を記録するものである。これを実現するには、記録媒体上に微細なスポット状の光を照射できる光素子が必要になっていた。

 光素子には次の要素が必要と考えられている;(a)ライタやリーダと同様にプレーナプロセスで形成できること、(b)光ビームを絞れること、(c)光利用効率が高いこと。しかし、これらを満足する方式は提案されていなかった。

 今回、薄膜形成プロセスが可能で、17%という高い光利用効率を保ちながら88nm×60nmという微細なビーム径を有する光素子を開発した。光学薄膜を用いて微細な光スポットを発生させるためには、光透過層を複数の層ではさんだ積層構造にする必要がある。光透過層は、ある条件で光を通せる限界まで薄くし、高効率に光を通せる材料(Ta2O5 :酸化タンタル)を組み合わせている。入射光を薄膜で絞るので、レンズ系で絞るより簡易な構造でスポット径を制御できる。

 波長400nmの光を80nmまで絞れたことで、今後の熱アシスト磁気記録用HDDヘッドにも適用が可能になると思われる。  

(富士通研究所 松本幸治)