26.01

分野:
磁気記録
出典:
Nature Materials 5, 383 (2006)
 
タイトル:
相変化材料を用いた高密度記録実験
概要:
 IBM Watson Labの研究者等は、加熱AFM探針を用いてカルコゲン系Ge-Sb-Te相変化膜上に面密度3.3 Tbits/in2という高密度記録が可能であることを実証し、更に非晶質/結晶質の熱伝導性の違いを利用した不揮発RAMへの応用の可能性も示した。
本文:
 カルコゲナイド系Ge-Sb-Teは高速の非晶質/結晶質間の相変化を示し、その構造変化の過程も次第に解明されつつある。[Nature Materials 3, 703 (2004); J. Appl. Phys. 98, 034506 (2006) ] こうした相変化による光学特性の変化を利用した光ディスクは既に広く実用化され、最近では相変化に伴う大きな抵抗変化を利用した不揮発ランダムアクセスメモリー(RAM)が注目され精力的な研究開発が進められている。

 IBM Watson Labの研究者は、Ge-Sb-Te (2 : 2 : 5)を用いた高密度記録及び新しい不揮発RAMへの応用を試みた。記録実験に於いては、相変化させる加熱領域を微小にするために、鋭いAFM探針(曲率 5 nm)を用いて、その裏からパルス光(パルス間隔 10 ns)を照射して探針先端を加熱した。そして探針先端との接触部のみを相変化させ記録/消去操作を行なっている。記録ビットサイズは50 nm以下であり、3.3 Tbits/in2という高密度記録を達成している。また、彼等は、Ge-Sb-Teを用いた新たな不揮発RAMの開発を目指し、微細加工ナノヒータ (加熱領域が50 nm程度であることを確認) を用いて、Ge-Sb-Teへの10,000万回以上の安定な書込み(10 ns)/消去(100 ns)動作を実証した。

 以上の実験は未だプリミティブなものであり、実用化のためには解決すべき課題が山積している。今後は、他の競合技術と総合的に比較しながら、有用性を議論していく必要がある。 

(東北大 北上 修)