62.03

分野:
磁気物理
タイトル:
強磁場におけるユーロピウム価数揺動状態のX線磁気円二色性
出典:
X-Ray Magnetic Circular Dichroism of a Valence Fluctuating State in Eu at High Magnetic Fields, Y. H. Matsuda, Z. W. Ouyang, H. Nojiri, T. Inami, K. Ohwada, M. Suzuki, N. Kawamura, A. Mitsuda, and H. Wada, Physical Review Letters 103, 046402 (2009), 大型放射光施設(SPring-8)プレスリリース
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2009/090728
概要:
 X線磁気円二色性(XMCD)分光法において、これまでの世界記録を抜本的に塗り替える40テスラという超強磁場下での実験を実現した。さらに、EuNi2(Si0.82Ge0.18)2の価数揺動(Eu3+(f6)とEu2+(f7))の磁場依存性を測定し、2つの状態が、強磁場領域で全く異なる磁場応答を示すことを発見した。。
本文:
 東北大学金属材料研究所の野尻浩之教授、東京大学物性研究所の松田康弘准教授、日本原子力研究開発機構の稲見俊哉博士、高輝度光科学研究センターの鈴木基寛博士、九州大学大学院理学研究院の光田暁弘准教授らの共同研究グループは、X線磁気円二色性(XMCD)分光法において、これまでの世界記録を塗り替える40テスラという超強磁場下での実験を実現した。この成果は、大型放射光施設SPring-8の高輝度X線と独自に開発した超小型パルス強磁場を組み合わせることにより初めて実現した。超小型パルス強磁場は、通常用いられる大型パルス磁場発生装置と比べ、既存の装置の改造や新たなインフラを必要とせず、場所を選ばず迅速に実験が出来る特徴が ある。この装置の実現により、これまで強磁性を示す一部の物質のみに限定されていたXMCD手法の応用が、一挙に一般の幅広い磁性物質の研究にも広がる可能性がある。今回は、低温度ほとんど磁性を示さず、EuNi2(Si0.82Ge0.18)2の価数揺動(Eu3+(f6)とEu2+(f7))の強磁場下の磁場応答を調べた。その結果、この2つの状態の磁場応答が強磁場下において全く異なることを発見した。これら新型磁気メモリや磁気センサのための新しい磁気材料の設計・開発にも大きく貢献すると期待される。

(群馬大学 櫻井 浩)