62.02

分野:
磁気物理
タイトル:
スピンモーメントのみの磁化曲線測定手法
出典:
伊藤真義、小泉昭久、櫻井吉晴:15pF-10, 第33回日本磁気学会, 長崎大学文教キャンパス, 2009年9月12日-15日、Tu-D-11-08, The International Conference on Magnetism – ICM 2009, Karlsruhe, Germany, July 26-31, 2009
概要:
 磁気コンプトン散乱を用いて、スピン磁化曲線の直接的測定に初めて成功した。測定はSPring-8-BL08Wで行われた。試料はGdAl2とSmAl2で、のスピン磁化曲線は予測された磁化曲線と一致した。
本文:
 磁気コンプトン散乱(スピンに依存したコンプトン散乱)は弾性散乱X線や中性子磁気散乱と異なり、スピン磁気モーメントのみを観測することが約15年前に発見された。その後、全磁化測定と組み合わせて、希土類やウラン化合物のスピン磁気モーメントと軌道磁気モーメントを分離した測定が提案されている。伊藤真義副主幹研究員(高輝度光科学研究センター)らは小泉昭久准教授(兵庫県立大学)と共同でスピン磁気モーメントの磁場依存性、すなわちスピン選択磁化測定する「スピン選択磁力計」を提案した。スピン磁気モーメントのみで構成されるGdAl2を測定した結果、スピン磁化曲線は全磁化測定とほぼ一致した。一方、スピン磁気モーメントと軌道磁気モーメントが逆向きであるため、全磁化がほぼ打ち消しているSmAl2の場合は、明確なスピン磁化曲線が観測された。スピン選択磁化測定はX線磁気円二色性(XMCD)による元素別磁化測定と相補的な測定として、スイッチング特性の解明に有効な手段に発展すると期待される。 

(群馬大学 櫻井 浩)