28.01

分野:
磁気光学
出典:
第30回日本応用磁気学会学術講演概要集, p.30, (2006)
タイトル:
カー効果を利用した局所的磁化ベクトル測定の試み
概要:
 平成18年9月11日第30回日本応用磁気学会学術講演会にて、東北大学斉藤らのグループから薄膜試料の局所における磁化ベクトルを定量的に計測できるカー効果顕微鏡が提案された。磁化量をカー効果を用いて定量的に計測する試みであり、新しい計測方法へ発展するものと期待される。
本文:
 
カー効果顕微鏡は、磁化方向の差によるコントラストを得ることができるため、磁区観察のための手法として広く知られている。また面内磁化を有する試料表面の観察時には、そのコントラストは光の入射方向で決まる特定一軸方向の磁化成分に対して生じることから、180°磁壁の観測方法として特に優れた手法である。今回の提案では、それぞれ直交する2つの入射光(x方向、y方向)を用い、それぞれのコントラストからx方向成分の磁化量とy方向成分の磁化量を取得し、それを合成することにより面内局所の磁化ベクトルの向きと大きさを定量的に観測しようとするものである。

 この手法は、試料表面局所における磁化ベクトルを観察可能であることから、薄膜端部の磁化の振る舞いなど、磁気特性の均一性の評価、さらには動的観察を組み合わせることによる局所領域の磁化ベクトルの履歴特性の評価など、従来にない新しい磁気特性評価が可能になると考えられる。カー効果で得られたコントラストと磁化量との厳密な対応関係や、試料表面状態の差に起因して生じるコントラスト差の除去など、解決すべき課題も残っているが、今後の研究の発展に注目したい。 

(東北大学 石山 和志)