18.01

分野:
磁気物理
タイトル:
100テスラ領域の強磁場スピン科学シンポジウムが開催された
出典:
100テスラ領域の強磁場スピン科学第1回シンポジウム(2005/10/8)
概要:
 近年の磁場発生技術の進歩により100テスラ級の磁場を発生させることが可能になり、この強い磁場を利用して、強磁場中での誘起される新しい物質の振る舞いを調べ、機能や状態を制御することを目指した研究が進められている。この機に、100テスラ領域の強磁場スピン科学第1回シンポジウムが開催され(東京大学2005/10/8)、最新の強磁場測定技術の利用によって明らかになってきた強磁場下での磁気物性研究の成果について紹介された。
本文:
 
科学研究費補助金特定領域研究 “100テスラ領域の強磁場スピン科学”(http://spin100.imr.tohoku.ac.jp/) では、100テスラ級の磁場の発生から強磁場下での物性計測、機能や状態の制御を目指して研究を進めている。総括的研究活動のために、100テスラ領域の強磁場スピン科学第1回シンポジウムが東京大学-本郷キャンパスに於いて2005/10/8に開催された。

 午前には、パルス強磁場発生装置を用いた大型施設における中性子散乱回折・放射光X線分光などの測定技術開発と応用について講演があった。中性子実験では世界最高の40テスラ装置の開発計画が紹介され、放射光実験では50テスラ級の可般装置を利用した測定結果が紹介された。また、強磁場下でのNMR/ESR法による生体物質研究について講演があり、金属タンパク質ではこれまでにない精度で電子状態が明らかになってきたことが報告された。

 午後には、強磁場を利用したナノ領域の研究について実空間分布や強相関電子系の電子状態の研究などが紹介された。半導体の閉じ込め構造中での特異な量子効果などには新しい機能発現が期待される。また、100テスラ領域磁場の発生と精密な物性測定の組み合わせ技術への展望などが講演された。

 磁場は制御可能な外部場であり、これを自在に制御した精密物性測定が可能になることで、生体物質を含む物性研究の進展が期待され、また、スピンを制御することで新しい機能性材料の開発も進んでいくと考えられる。

(独立行政法人 日本原子力研究開発機構 安居院あかね)