1.06

1.06 最近の国際会議から:MORIS2004

ウォーカの限界を超える磁区収縮速度の動的観察

  光磁気記録に高密度記録された磁区を再生するために、記録層に記録した磁区を再生層に転写し、さらに、レーザ光が照射された場合に、その転写された磁区を拡大して光磁気信号を得る方式(磁区拡大再生方式)が数年来研究されてきた。これを実現する手法はいくつかあるが、再生層には共通してGdFeCo膜が用いられている。それは、磁壁抗磁力が小さく、磁壁移動速度が他のRE-TM膜に比べて速いことによる。

  著者らは、磁壁移動をダイナミックに測定するシステムを数年前に組み上げている。詳細は、Trans.Magn.Soc.Jpn., 2, 258 (2002) を参照されたい。 今回は、膜厚が40 nm、飽和磁化55 emu/cc のGdFeCo薄膜を用いて、実効印加磁界を従来より増加させて繰り返し測定を行うことにより、ウォーカの限界磁界"Hcr"が、99Oeであることを明らかにした(We-Q-8: Dynamic Observation of Domain Shrinking Speed over Walker’s Limit)。また、その時の磁壁移動速度は約80 m/sである。Hcrより磁界を高めると磁壁構造が乱れるために、磁壁移動速度は低下するが、この変化から、Damping factor’α’は約0.29であることが分かった。

  さらに、磁界を面内方向に印加した場合には(135 Oe)、磁壁移動のブレークダウンは観測されず、100 m/sを超える移動速度を得られている。この手法は、磁壁移動を高速化できる可能性を示している。

(富士通研究所 松本幸治)