197.01

[分野] 磁気応用
[タイトル] 頭皮密着型トンネル磁気抵抗効果(TMR)センサによる脳磁図計測

[出典] Kanno A, Nakasato N, Oogane M, Fujiwara K, Nakano T, Arimoto T, Matsuzaki H, Ando Y, Scalp attached tangential magnetoencephalography using tunnel magneto-resistive sensors. Scientific Reports 12, 6106 (2022). https://doi.org/10.1038/s41598-022-10155-6
東北大学プレスリリース 2022年4月14日
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/04/press20220414-05-tmr.html

[概要] 
東北大学のKannoらは、トンネル磁気抵抗素子(TMR)を利用した頭皮密着型の高感度磁気センサを開発し、体性感覚誘発磁場の接線方向成分の計測に成功した。

[本文]  脳内の神経活動にともなって生じる磁気信号は脳磁図、または脳磁界と呼ばれる。頭表付近における信号強度は最大でも数 pT(10-12テスラ)程度とされ、観測するためには極めて高感度な磁気センサが必要となる。現在は全頭型SQUIDセンサアレイを用いた脳磁界計測が主流となっているが、液体ヘリウムの入手性の悪化により、ヘリウムレス脳磁計の実現が望まれている。近年では光ポンピング磁力計、磁気インピーダンス(MI)センサ、磁気抵抗効果センサの高感度化が進み、これらのセンサを利用した脳磁界計測の試みも増えてきている。
 東北大学のKannoらの研究グループはトンネル磁気抵抗素子(TMR)を利用した磁気センサの高感度化に関する研究開発を進めてきた。今回、頭皮密着型のTMRセンサを利用した脳磁界計測に成功した研究成果がScientific Reportsに掲載された。
TMRセンサは基板上に配置したフラックスコンセントレータにより高感度化され、頭表より2.6 mm の距離での脳磁図計測が可能となった。また、検出される脳磁界方向は頭表に対して接線成分となる。これまでSQUID脳磁計で一般的だった法線成分検出に比べて大きい信号を得られると期待できることがシミュレーションによって述べられている。
 脳磁界計測実験ではTMRセンサを被験者の右頭頂表面に直接配置し、左手正中神経の電気刺激によって誘発される体性感覚誘発磁界(SEF)が計測された。9000回の加算平均処理により、N20m と呼ばれる反応に関する信号波形が得られ、SQUID脳磁計によって別途計測した法線成分波形と似た信号波形となった。頭表密着型TMRセンサによってSEFを計測可能であることが示された。
(金沢工業大学 小山大介)

TMRセンサを利用した未来の脳磁計(東北大学・大兼先生よりご提供)

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