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【分野】 スピントロニクス

【タイトル】 一方向にのみ電気抵抗がゼロとなる超伝導ダイオード効果を発見

【出典】 Fuyuki Ando, Yuta Miyasaka, Tian Li, Jun Ishizuka, Tomonori Arakawa, Yoichi Shiota, Takahiro, Moriyama, Yoichi Yanase, and Teruo Ono, “Observation of superconducting diode effect”, Nature 584, 373-377 (2020).
DOI:10.1038/s41586-020-2590-4

京都大学 プレスリリース
一方向にのみ電気抵抗がゼロとなる超伝導ダイオード効果を発見
―エネルギー非散逸な電子回路の実現に向け期待―
(2020年8月8日)
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2020/200820_1.html

【概要】
Nb層/V層/Ta層で構成される非対称構造を有した人工格子において、超伝導臨界電流の大きさが電流の方向に依存する超伝導ダイオード効果を発見した。本成果は、エネルギー損失の極めて小さい電子回路実現への貢献が期待される。

【本文】
京都大学化学研究所の小野輝男教授、安藤冬希 同博士課程学生(研究当時)らの研究グループは、同大学理学研究科の柳瀬陽一教授、大阪大学理学研究科の荒川智紀助教らと共同で、非対称称構造を有する超伝導人工格子において、電流の向きが一方向に流れる時のみ電気抵抗がゼロとなる超伝導ダイオード効果を観測した。
 物質中に空間反転対称性の破れが存在すると、電流の2次の非線形効果により、電流方向の正負で異なる抵抗値や倍周波の出力信号が現れる非相反電荷輸送が生じる。代表的な応用例として半導体ダイオードが挙げられる。
 そこで、Nb層/V層/Ta層で構成される非対称構造を有した人工格子をスパッタ法で製膜し、空間反転対称性の破れた超伝導体を作製した。作製した人工格子薄膜面内に電流と直交する外部磁場を印加し、電気抵抗の直流電流依存性を4端子法で測定した。その結果、順方向では電気抵抗ゼロとなる超伝導、逆方向では有限の電気抵抗を有する常伝導となるダイオード効果を見出した。また、順方向と逆方向の向きは、磁場の方向を逆転すると逆転した。さらに、印加電流の方向によって臨界電流の大きさが異なり、順方向と逆方向の臨界電流の大小関係は、外部磁場の符号によって決まることを見出した。
 従来の半導体ダイオードは有限の抵抗を持つために各部品におけるエネルギー損失が問題となるが、超伝導ダイオードは電気抵抗ゼロであるため、エネルギー非散逸かつ方向制御可能な電荷輸送素子となり得る。今後は、高感度な検出器や低エネルギー散逸の周波数混合器などといった電子回路応用の観点から、より詳細なダイオード性能評価および物質探索が期待される。
(群馬大学 櫻井浩)

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