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第69回ナノマグネティックス専門研究会報告

2015 IEEE Mag. Soc. Distinguished Lecturer Bethanie Stadler氏を迎えた講演会報告

日 時:
2015年12月8日(火) 13:30~17:00
場 所:
日本大学駿河台キャンパス
共 催:
IEEE Mag. Soc. Tokyo Chapter
参加者:
12名

 2015年度のIEEE・DLであるミネソタ大のBethanie Stadler教授を講師として迎えたチュートリアル講演、および第39回学術講演会のシンポジウムにおいて更に詳細な議論を行いたいとの希望が寄せられていたRashba効果による磁気異方性のメカニズムの討論を行った。参加者は少なかったが、その分講演者と聴講者が密に議論を交わすことが出来、新たな理解を深める機会となった。

  1. 「Spin electromagnetic field induced by Rashba spin-orbit interaction and its role in spin-charge conversion」
    ○Gen Tatara (RIKEN)

     Rashba効果によって磁気異方性が表れる界面構造について、これまで論文で報告されている実験結果の理論的解釈、および理論模型から予測されるより効率的な実験方法の提案について報告が行われた。Rashba効果による磁気異方性はスピン流による磁壁移動に大きな影響を与えるため、スピン流の極性によって磁壁移動を加速するメカニズムが説明された。これに関する討議から、磁壁に及ぼす有効磁場が磁壁移動に対して減速または磁壁質量の増加に働く点を応用展開するなどの新たな議題が専門研究会の話題として取り上げられた。

  2. 「Magnetic nanowires: revolutionizing hard drives, RAM, and cancer treatment」
    ○Bethanie Stadler (IEEE/DL, Univ. Minnesota)

     ナノサイズのピンホールを有するテンプレートを用いて、高精度の多層膜めっき法を利用して磁性ナノワイヤーおよびナノワイヤーアレイを作製する技術が紹介された。磁性材料としてはめっき技術の利用ということでCo系合金が中心であるが、ワイヤーの応用範囲は広く、HDDの磁気ヘッド部品の高寸法精度化、MRAMの記録セルの製造方法の簡素化などの検討が実施されている。特に、医療応用についてはハイパーサーミアのような磁気損失による発熱を利用した癌治療ではなく、磁気トルクを受けたワイヤーが癌細胞内で回転することで細胞を消滅させる効果があることが発見され、この効果の検証実験を行っていることが述べられた。

文責:三俣千春(物材機構)