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第59回ナノマグネティックス専門研究会報告

テーマ:「2014 IEEE Magn. Soc. DL H. Braun教授を迎えた講演会」
日時:2014年6月19日(木) 13:30~16:45
場所:中央大学駿河台記念館
共催:IEEE Mag. Soc. Japan Chapter
参加者:14名

 微小磁性円盤が、還流磁区の向きだけでなく中心部の磁化方向によって4つの状態を取るように、位相的な磁化構造が安定化する場合がある。磁気位相異性構造は、磁壁、渦およびskyrmionsなどに現れ、磁気メモリに重要な構成要素となる。今回の専門研究会は、当分野の先駆者のひとりである2014年IEEE Magnetics Society Distinguished LecturerのHans-Benjamin Braun教授をお招きし、最新の研究成果をご紹介いただいた。また、関連分野の最先端研究成果として、理研の多々良博士より、スピン流と磁気位相モノポールとの関係をご報告頂いた。さらに、こういった磁気構造を検証するのに有効な軟X線磁気円二色測定方法とこれを用いた反強磁性体のスピン挙動の測定結果を大阪大学の白土准教授よりご報告いただいた。複雑な磁気位相構造がテーマで参加者は多くなかったが、講演者のスライドに視的説得力があり、活発な質疑応答、討論がなされた。

  1. IEEE Magn. Soc. Distinguished Lecture  “Topological Effects in Nanomagnetism: From Perpendicular Recording to Monopoles.”

    〇Hans-Benjamin Braun(University College Dublin)

    まず、熱励起により現れる磁気位相欠陥構造が、スピン間の相互作用の次元やスピンの特性によって変わることが示された。次に、古典的磁壁のカイラリティーが量子スピン流となることがマイクロマグネティクスにより検証され、偏極中性子およびシンクロトロンX線実験によって確認された。最後に、スピンアイスのなかで、稠密にパックされたスピン配列中の位相欠陥として磁気位相モノポールが、どのように出現するか議論された。スライドは、磁気位相構造が視覚的に分かりやすく表現されていた。

  2. “Current-induced dynamics and spin motive force of a magnetic domain wall and skyrmions.”

    ○Gen Tatara (RIKEN)

    講演では物質中の有効電磁場の例として、強磁性金属中のスピン電磁場が紹介され、それによるスピン制御の新たな可能性が議論された。また、物質内の有効電磁場はモノポールを含んでいても問題は生じないこと、及び逆スピンホール効果がモノポール流によるアンペール則により発生する起電力で理解できる可能性も議論された。

  3. “Behavior and control of interfacial uncompensated antiferromagnetic spins in Pt/Co/α-Cr2O3 perpendicular exchange-biased system.”

    〇Yu Shiratsuchi (Osaka U.)

    α-Cr2O3を反強磁性層として用いた垂直交換バイアス薄膜に関する系統的な実験結果が報告された。特に,軟X線磁気円二色性による界面非補償反強磁性スピン挙動の検出,パルス強磁場や電気磁気効果を用いた反強磁性スピン反転とそれに伴う交換バイアスのスイッチングに関する実験結果が示された。

文責:五十嵐 万壽和(HGST)、中谷亮一(阪大)