第15回ナノバイオ磁気工学専門研究会報告

日 時:2006年4月25日(火)13:30~16:00
場 所:東京工業大学大岡山キャンパス
参加者:20名

講演内容:

  1. 「磁気を応用した鳥類飛来防止装置の反応と効果」
    杉本博昭(大阪ウイントン)

      ハト、カラス、カモメなど、生物磁石(マグネットソーム)を持っている鳥類が建造物に飛来するのを、永久磁石の配置によって防止する”バードストッパー”を実用化した。大型・重要建造物を含め、国内外に3,600件以上の設置実績を持つ。講演では、開発に当たり、先ず鳥の習性を調査し、また現場から学んだ苦労談を交えて、ハトなどの磁石に対する反応と飛来防止効果を紹介した。

  2. 「高磁場が生体へ及ぼす影響と効果」
    正田誠(東工大)

      最大7Tの高磁場が、種々の生物体(大腸菌、枯草菌、酵母、線虫、培養細胞、ショウジョウバエなど)にどのような作用を及ぼすかについて研究している。大腸菌や枯草菌に対する高磁場の効果は、死滅の抑制という顕著な現象として現れた。しかし高等生物においては、生体内の種々の反応に作用しているが、目に見えた現象としては現れにくいことがわかった。講演では、大腸菌、枯草菌、酵母および線虫について得られた知見を紹介した。

 今回の研究会では、磁石を用いて鳥類の建造物への飛来を撃退するユニークな装置の実用化と、高磁場の生体に及ぼす影響に関する最先端の研究の紹介がなされた。”バードストッパー”については、実用化の第一線で指揮した社長から、多くの現場の写真が紹介され、大変興味ある講演であった。両講演とも活発な質疑応答が行われた。

(理研 野田紘憙、東工大 阿部正紀)