第11回磁性多層膜の新しい機能専門研究会

微細加工技術の磁性薄膜への応用

日 時:平成7年6月27日(火)11:00-16:00
場 所:早稲田大学国際会議場
参加者:約60名

今回は「微細加工技術の磁性薄膜への応用」を主題として, 中谷(金材技研)・大谷(東北大),山口(東北大),前田(三洋 電横)一 入江(松下電器),小野(京大)および福山(東大)に 講演を依頼した.粉体粉末冶金協会との共催とし,同協会の大 会のー部として行なったため,参加者数は多かったが,応用磁 気学会員は約半数である.

微細加工技術は半導体分野で著しく発展し,応用に関しても その役割は重要なものとなっている.それに比べて,磁性体や 金属分野での利用はまだごく僅かであり,逆にいうとまだ広い 未知の世界が残されているであろうと期待される.研究の進展 を妨げてきた原因は,設備に要する豊用が巨大であることと, 応用への展開の見通しが明らかでないことなどであろう.
中谷,大谷は金属に対して微細加工技術をいちはやく利用し て金属微粒子を生成しており,その性質が基礎研究の対象とし て興味深いものであることを紹介した.
山口は応用磁気の分野 で既に応用されているややマクロな微細加工についてサーベイ した.
前田と入江はGMR膜の微細加工を試みており,小野は 加工した基坂上に成膜する実験を紹介しているが,いずれも GMR特性の向上を目指した研究であり,GMR を増大させる 方向へ展開に期待できることを示した.
福山は微小なサイズの 磁性体の磁化過程の理論的考察を行い,今後の実験に示唆を与 えた.

磁性体研究において, 微細加工技術は新分野を拓く手段であ り,基礎研究面では興味深いものであることが認識されてきた が,GMRとの関連で応用面からも注目され始めたので, その 利用は今後拡大されていくことが予想される.

(京大 新庄輝也)