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IEEE Magnetics Society Distinguished Lecturer講演会
日本磁気学会 第46回ナノマグネティクス専門研究会報告
タイトル:「スピントロニクスとスピンカロリトロニクスの最前線」
日時:2012年8月2日 13:30〜16:20
場所:東工大蔵前会館
参加者:40名

 2012年度IEEE Magnetics Society Distinguished Lecturerの2名の講師を招待し、スピントロニクスとスピンカロリトロニクスの研究分野の概説と最近の研究動向を紹介いただいた。ともに物質中のミクロスコピックなスピンをデバイス応用するためのキーテクノロジーとして最近注目を集めている内容であり、活発な質疑応答、討論がなされた。若手研究者および学生の参加も多く、最新研究動向などがわかりやすく紹介され、企画意図とおりの充実した内容となった。各講演の内容は以下の通りである。
  1. 「Magnetoresistance and spin-transfer torque in magnetic tunnel junctions」
    湯浅新治(産総研)
     単結晶MgO薄膜をトンネル障壁とするトンネル磁気抵抗素子において、コヒーレントトンネル効果が発現することにより、非常に大きな磁気抵抗変化率が得られることが示された。また、磁気抵抗効果とは表裏関係にあるスピン注入磁化反転においても、単結晶MgOを用いることにより効率的な磁化反転が実現できることを示し、その物理的起源についても詳しい説明がなされた。これらの原理を利用した次世代不揮発メモリの開発に関して、企業からの参加者から多数の質問があり、興味の高さが伺えた。

  2. 「Spin caloritronics - spin-dependent thermoelectrics and beyond」
    Gerrit E.W. Bauer(東北大)
     スピン軌道相互作用の大きな非磁性金属を強磁性体に接合した系に対し、熱勾配を与えるとスピン流が発生する機構の理論について概説があった後、熱勾配励起スピン流による強磁性体の磁化スイッチングに関する実験について紹介された。熱エネルギーを利用したデバイス駆動は、省電力消費社会実現に向けて非常に重要な課題であり、工学的応用の見込みや新奇デバイスの可能性に関しても報告された。

文責:能崎幸雄(慶大)