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第35回ナノマグネティックス専門研究会 報告
日 時:2010年7月2日(金)13:30〜16:45
場 所:中央大学駿河台記念館
参加者:17名

 今回の研究会では、新しいメモリ・ストレージの要素技術となる磁性ドットのナノ秒磁化反転、ドットの集合体の反転磁界ばらつき、ホイスラー合金系ハーフメタル膜、ならびに、垂直磁化膜のマイクロ波アシスト磁化反転に関して、計4件の講演があった。いずれの講演も今後の研究分野の広がりが期待される分野であり、活発なディスカションが行われた。
  1. 「ナノ秒パルス磁場によるCo系多層膜ドットの磁化反転実験」
    ○菊池伸明、巣山宜裕、岡本聡、北上修(東北大)

     大振幅パルス磁場とナノ磁性体の異常Hall効果を検出する手法を組み合わせて、サブナノ秒からナノ秒領域でのCo/Pt多層膜ドットの磁化反転実験を行った結果について報告があった。パルス長を変化させた実験により、反転核の生成とその成長・伝搬の二段階の過程による磁化過程が明瞭に観測されたこと、ならびに、反転磁場の磁場時間依存性は、サブナノ秒領域から準静的領域の幅広い領域にわたりSharrock式によりよく表現できたことなどが報告された。

  2. 「自己組織化ビットパターンド媒体の反転磁界ばらつき」
    ○礒脇洋介、木村香里、渡部彰、鎌田芳幸、喜々津哲(東芝)

     35nmピッチ自己組織化プロセスを用いて作製したCoPtとCoCrPtBの2種類のドットアレイの反転磁界ばらつきについて報告があった。ΔHc法を用いて、異なる印加磁界速度に対するSFD値の変化を測定した結果、CoCrPtBの方が印加磁界速度の増加に伴うSFDの減少率が大きく、SFD値に対する熱揺らぎの影響が大きいことが報告された。また、熱揺らぎの影響が小さい時間領域では、CoPtの方がCoCrPtBよりもSFD値が大きいことを示唆する結果が得られており、その違いはドット形状ばらつきと活性化体積の観点から説明が可能であることが報告された。

  3. 「ホイスラー合金系ハーフメタルを用いた磁気抵抗素子開発の現状と今後」
    ○桜庭裕弥、泉健之亮、ボス スボロジャティ、斉藤今朝美、高梨弘毅(東北大)

     HDDの再生ヘッドなどへの応用の観点で注目される、ホイスラー合金を用いたCPP-GMRスピンバルブの特性について報告がなされた。高いハーフメタル性を持つ、ホイスラー合金Co2MnSiを用いて、Agをスペーサとしたスピンバルブ素子を作成し、室温で36%、110Kでは65%の巨大な抵抗変化率が得られている。この値はGMRとしては現在最高レベルの値である。また、今後の高MR化の展望として、現状のCo2MnSiではCo-Mn間の不規則相が阻害要因になっている可能性が示された。バンド計算から、この不規則相によりエネルギーギャップにDOSを生じることが明らかになっており、今後この相の解消が更なる抵抗変化率の増大につながるとの見解が示された。

  4. 「垂直磁化膜におけるマイクロ波アシスト磁化反転」
    ○吉岡孝、野崎隆行、関剛斎、白石誠司、新庄輝也、上原裕二*、鈴木義茂(大阪大、*富士通)

     近年、磁気記録の分野で注目をあびる、高周波アシスト磁化反転に関する発表。CoPt系垂直磁化膜にマイクロ波を印加し、保持力が低下する様子が観察されている。マイクロ波はシグナルジェネレータで発生してCPWから試料に印可し、同時に保持力を観察する手段として、異常ホール効果が用いられている。マイクロ波の磁界強度を高めるに従い、保持力が低下し、同時に最適なアシストを示す周波数が高周波側にシフトする様子が示された。この傾向は、定性的にはCMRRのJ. Zhuらの計算結果と一致する。一方で、今回の試料は垂直磁化膜自体をホールクロスに形成しており、J. Zhuが想定している粒子のコヒーレントな運動とはモードが異なることから、定量的には不一致が生じているとの見解が示された。

文責:島津武仁 (東北大)