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第19回ナノマグネティックス専門研究会 報告
日 時:2007年2月16日(金)13:30〜17:00
場 所:全電通労働会館会議室(千代田区神田駿河台)
参加者:15名

 本年度最後のナノマグネティクス研究会を開催した。前半の講演はナノ磁性粒子関係、後半の講演は硬磁性薄膜技術について討論を行った。参加者が少なかったが、各講演にたいして多数の質問が寄せられ活発な議論が行われた。
  1. 「超常磁性ナノ粒子集合体形成とその高周波磁気特性」
     小川智之(東北大)

     磁性体をナノサイズ化して発現する超常磁性現象の高周波特性について、LLG方程式を用いた数値計算結果とマグネタイトを用いた実験結果を比較した結果が報告され、粒径微細化により超常磁性適用限界周波数の高周波化の可能性が示された。また、Feナノ粒子を中心とした高飽和磁化遷移金属磁性ナノ粒子および酸化抑制した非磁性金属とのコア−シェル構造ナノ粒子の化学合成手法について紹介された。

  2. 「磁性微粒子集合体のヒステリシス特性と磁気構造」
     菅野量子(日立)

     磁気双極子相互作用する磁性微粒子集合体の磁化反転機構に関して、その粒径不均一性による磁化曲線の変化をミクロな磁化分布から分析し、3次元立方格子上の磁気双極子集合体の磁気構造に粒径分布の与える影響を系統的に調べた結果と関連した議論が紹介された。規則的な均一系で現れる長距離反強磁性秩序は不均一性の増加に伴い、短距離の強磁性的秩序状態を示すことが示唆された。このクロスオーバーは対数正規分布関数で分布する粒径分布の標準偏差σ〜0.4付近に現れることが報告された。

  3. 「Nd-Fe-B厚膜磁石とデバイスへの応用」
     中野正基(長崎大)

     PLD(Pulsed Laser Deposition)法によるNd-Fe-B厚膜磁石の高速成膜と磁気マイクロマシン技術への応用について報告された。パルス熱処理による顕著な保磁力増大効果や、間欠成膜法による膜面垂直方向への磁気異方性付与について述べられた。数100ミクロン厚のNd-Fe-B膜を用いたミリメータサイズのブラシレスモータ、摩擦駆動モータ、ワイヤレス磁気泳動マシン等の試作例とその動作特性について報告があった。

  4. 「Fe/Pt積層構造からのc軸配向FePt規則合金薄膜と磁気的相互作用評価」
     中川茂樹(東工大)

     ガラス基板上に直接スパッタ堆積した3nm程度のFe層は(100)配向を示し,その上に作製した3nm程度のPt層もエピタキシャル成長により(100)配向を示す。この2層膜を水素中600℃でアニールすることにより6nm程度のFePt規則合金の(001)配向膜が形成できる。Pt層厚の増加はPt層の(111)配向を引き起こし,アニール後の(001)配向分散を助長する結果となる。as-deposited状態でのFePt規則合金の(001)配向膜の作製条件を探ったところ,Pt層成膜開始時に室温状態とし,成膜中に600℃までの昇温処理を行うことでFePt規則合金の(001)配向膜を直接形成できることを確認した。

(九大・松山公秀、日立金属・三俣千春)