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第19回ナノバイオ磁気工学専門研究会報告
日 時:2006年12月12日(火)13:30〜16:00
場 所:東京工業大学大岡山キャンパス
参加者:32名

 磁性ナノ粒子の医療診断への応用の研究と、第一線の科学ジャーナリストによる磁気応用技術に関する興味ある話が紹介された。磁気マーカーを用いた抗原・抗体反応は、今後の免疫検査に大きな進歩をもたらすことが期待される。また、ジャーナリストから見たバイオ医療、環境安全、情報通信、構造材料などの分野に関する視点は、異分野への興味を引き起こすトリガーを与えると思われる。
  1. 「磁気マーカーを用いた高速・高感度SQUID免疫検査システム」
    円福敬二(九大)

     磁気ナノ粒子で標識した抗体(磁気マーカー抗体)と、SQUID磁気センサを用いて磁気的に免疫検査を行うシステムを開発している。本方法には、従来の光学的検査法にはない高感度性や、未結合マーカーを除去する"洗い"の工程を省いた高速検査が期待されている。講演では、本手法に必要な磁気マーカー及び検査システムについて述べ、本システムを用いた免疫検査の例を紹介した。

  2. 「ナノテクノロジーで持続可能な社会をつくるため−磁気応用技術の可能性」
    黒川卓(日経産業消費研究所)

     工学技術の進歩で、半導体集積回路の最小線幅は生命体の最小単位であるウイルスと同程度の数十nmに達した。数十nmの大きさを自由自在に操作できるナノテクノロジーは、最少量の薬剤による病気の治療、最少資源によるもの作り、最少のエネルギーロスを実現する。工業社会が自然界と共存できる時代がやってきた。講演では、ポストゲノム時代における新規磁気応用技術の可能性を視野に入れて先導する例をいくつか紹介した。

(文責 理研 野田紘憙、東工大 阿部正紀)