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第59回マイクロ磁区専門研究会
日時:平成10年7月3日 (金)
場所:NTT武蔵野研究開発センター
参加者:41名

プログラム:
  1. Large Magnetic Anisotropy in Co3Pt Ordered Phase Thin Films 山田 芳靖、鈴木 孝雄(豊田工大)
  2. トンネルスピン磁気抵抗効果 宮崎 照宣 (東北大学)
  3. 3d遷移金属の交換積分とキュリー温度の計算 佐久間昭正 (日立金属)
  4. Co/Cu多層膜のスパッタ条件を考慮した膜形成シミュレーション 塚本 新、 乗附 康之、藤田 俊博、中川 活二、伊藤彰義 (日本大学)
  5. X線共鳴散乱による Fe/Gd多層膜の磁気構造 橋爪弘雄、細糸信好(*)、石松直樹、宮 繁夫 (東京工業大学、(*)京都大学)

 当日は猛暑にもかかわらず、参加者も多く活発な議論がなされた。
 豊田工大の山田氏は真空蒸着法で形成したCo3Pt膜が1〜2×10J/m程度の著しく高い結晶磁気異方性を有すること、また、これが規則格子の生成によることを示唆された。
 東北大学の宮崎先生はトンネルスピン磁気抵抗に関し、TMR比の障壁高さ・膜厚依存性、TMR比の磁性層厚さ・磁気特性依存性、磁性層の磁化過程がTMRに及ぼす影響など、基礎的な特性を丁寧に紹介された。
 日立金属の佐久間氏は第一原理計算に基づいた、3d遷移金属の交換積分と磁気転移温度に関する理論検討を紹介した。これにより、キュリー温度の定量的な評価が可能であることが示された。
 日本大学の塚本氏はCo/Cu,Ni/Pd多層膜の膜形成過程を分子動力学法によってシミュレーションした結果を紹介した。島状成長に伴う多層膜界面での凹凸の発生,界面における原子の入れ替わりが,入射原子のエネルギーや下地層の結晶面の配向によって変化することなどが示された。また,Ni/Pd多層膜については,Ni層の面内の格子歪みと垂直磁気異方性の関係についても考察がなされた。

 東京工業大学の橋爪先生,石松氏は,軌道放射光を利用した磁性多層膜の新しい磁気構造解析手法を紹介した。このX線共鳴散乱によってFe/Gd多層膜のGd層内のGd原子のもつ磁気モーメントの大きさを層厚方向の関数として見積もることができること,また,界面付近のGdのモーメントが測定温度によって変化する様子などが示された。

 

(NTT 廣野、名大 岩田)