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第55回マイクロ磁区専門研究会
日時:1997年11月7日(金)13:30−17:10
場所:日本アイ・ビ−・エム(株) 大和事業所
参加者:27名

以下の4件の講演が行われた。

(1)Cr量増加によるCoCr系単層垂直媒体の高S/N化     
池田圭宏、園部義明、内田 博(日本IBM 東京基礎研究所)
(2)極薄膜面内磁気記録媒体の熱揺らぎに関する検討     
細江 譲,五十嵐万壽和,玉井一郎(日立中研)
(3)PdPtMn反強磁性材料を用いたスピンバルブ素子形成技術の検討     
清水 豊,岸 均,長坂 恵一,内柴 秀磨,田中 厚志,押木 満雅(富士通)
(4)Tb/Fe 多層膜の構造と磁気異方性     
藤原裕司(三重大学工学部),真崎次彦,兪祥游,岩田聡,綱島滋(名古屋大学大学院工学研究科)

 日本アイ・ビ−・エムの池田氏からは,Crの組成比を28%と高めたCoCr垂直磁気記録媒体に関する報告があった。Cr量増加によりMsは下がり,MRヘッドを用いた場合の信号振幅は減少するが,結晶配向性が改善され,S/Nが向上する。CoとCrの組成比を保ったままで,Ptを10%程度添加するとMsを大きくでき,信号振幅を改善できる。この結果100kFCIで37dBのS/Nを得られた。

  日立中研の細江氏からは,将来の高記録密度において問題となることが予想される,熱揺らぎによる記録減磁の問題に関する報告があった。膜厚10nmのCoCrPt面内記録媒体に,185kFCIの線記録密度で記録した場合に,48時間で信号振幅が9%低下する減少が見られた。同時に,記録分解能も低下していることから,磁化遷移領域における磁化変化が原因と考えられる。下地層の改善により,記録減磁を低減できることを見いだした。

  富士通の清水氏からは,PdPtMn反強磁性材料を磁化固定用に用いたスピンバルブヘッドについての報告があった。PdPtMnは耐食性や耐熱性に優れているが,軟磁性層との界面の磁化方向を初期化するのに280度Cの熱処理が必要となる。この温度に上げると,軟磁性層(NiFe/CoFe)の磁気特性が悪くなる。熱処理温度を下げても,印加磁界の方向を工夫すれば,所定の磁化方向に初期化できることが分かった。この方法に伴う問題点について現在検討している。

  三重大学の藤原先生からは,光磁気記録材料であるTbFeの積層周期を変えた多層膜を作成し,EXAFSにより局所構造を解析した結果についての報告があった。構造異方性は積層周期を1nm程度にすると最大となるが,この値で垂直磁気異方性も最大になる。この実験結果とシミュレ−ションの結果から構造と磁気の異方性との関連について考察した。

  今回は他の学会や研究会等が前後して行われた関係で参加者は少なかったが,以上4件の発表に対して活発な討論が行われた。

(日本アイ・ビ−・エム 豊岡 孝資)