第26回 光スピニクス専門研究会報告

「ニアフィールド磁気光学顕微鏡」


日 時: 11999年5月11日(火) 14:00-16:30
場 所: 東京工業大学 電気情報系会議室
参加者: 12名


講演題目:

1)フォトントンネリングによるカー効果増大を利用した新しい走査顕微鏡の可能性 喜々津 哲(東芝)
2)ベント型探針を用いたMO-SNOMの開発の現状と展開 佐藤 勝昭(東京農工大)



 本研究会は、「ニアフィールド磁気光学顕微鏡」と題して、微小磁区観察手段、超高密度記録手段として盛んに研究が行なわれている走査型近接場顕微鏡(SNOM)に注目し、顕微鏡としての技術的な解説/最近の展開、および新しい顕微鏡方式に関して上記の講演をしていただき、討論を行なった。
 喜々津氏は、全反射光学系を用いたフォトントンネリングを利用すればカー効果を増強して検出できる可能性があることを理論的に示した。実験的な検証にはまだ成功していないが新しいコンセプトの近接場顕微鏡として注目される内容であった。
 佐藤氏は、セイコーインスツルメンツ社と共同で開発した、ベント型探針を用いた光磁気(MO)-SNOMの開発について詳細・具体的な話を紹介した。SNOM探針の消光比の悪さや探針特性のばらつきに起因する問題を解決するため、ストークスパラメータを測定して光学的に補償を施すようにし、また、光弾性素子を用いて測定感度の向上を図った。その結果ほぼ完璧な偏光特性を得ることができ、分解能130nmでPt/Co-MOディスクの記録磁区の観測に成功している。検出感度向上により、非線型MO効果や表面エバネッセント光観察などへの展開も可能である。
 いずれの講演においても、光学的・磁気的な技術に関して、また高密度記録への可能性に関して活発な討論と質疑応答が行なわれ、単なる観察技術にとどまらない磁気−SNOMの可能性が改めて示された研究会であった。