第15回光スピニクス専門研究会報告

「磁気光学光導波路及び非相反デバイスの最近の発展」

日時: 平成9年9月25日(木)13:30〜16:30
場所: 東京工業大学 南III号館2階会議室
参加者: 23名



 今回は「磁気光学光導波路及び非相反デバイスの最近の発展」と題して以下の4つの講演をお願いした.

1)「半導体基板上への磁気光学光導波路の形成
−希薄磁性半導体(Cd,Mn)Te光導波路−
安藤功兒(電子技術総合研究所)
2)「集積型光アイソレータのためのガーネットと化合物半導体の集積化」                水本哲弥(東京工業大学)
3)「干渉型光アイソレータ」 杉本直登,新宅敏宏(NTT)
4)「広帯域光サーキュレータ」 石井紀彦,河村紀一,玉城孝彦(NHK)



 前半の2件の講演はモノリシック光集積回路用非相反デバイス実現に向けた半導体基板上への磁気光学光導波路形成に関するものであった.安藤氏の講演は,希薄磁性半導体(Cd,Mn)Teの光導波路作製に向けたプレーナタイプ光導波路の形成に関するものであった.半導体基板上への磁気光学導波路膜の設置方法としてエキタピシャル成長を選択し,GaAs基板上への光導波路膜の形成,導波路膜の伝搬損失測定及びこれまで詳細に報告されたことがなかった(Cd,Mn)Teの屈折率の精密なデータ等について紹介した.水本氏の講演は,光アイソレータを搭載した半導体レーザモジュール光集積回路実現に向けた化合物半導体上へのガーネット材料の集積化に関するものであった.半導体基板上へのガーネット材料の設置方法としてダイレクトボンディングを選択し,InP基板上へのガーネットのボンディング結果,ボンディングの各種導波路加工プロセスへの耐久性及びレーザーモジュール回路の具体的構成方法等について紹介した.
 残り2件の講演は,非相反デバイスの最近のトピックスに関するものであった.杉本氏の講演は,偏光素子を使用しない構成の非相反デバイスである干渉型非相反デバイスに関するものであった.偏波無依存で動作する光アイソレータ及び光サーキュレータの基本構成と動作原理を示し,バルク型光アイソレータの定盤上での動作確認と導波路型光サーキュレータの作製について紹介した.石井氏の講演は,波長多重通信に向けた広波長帯域光サーキュレータに関するものであった.(TbBi)IGをファラデー回転子材料に適用することで温度特性を改善し,かつ使用波長域を従来の数倍に拡大した偏波無依存光サーキュレータを実現できたことについて紹介した.
 参加者はやや少なかったものの白熱したディスカッションが続いた有意義な研究会であった.
杉本直登(NTT),河村紀一(NHK)