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会長挨拶(更新用バックアップ:8月に使います)

二本 正昭 中央大学/日本磁気学会会長

<略歴> 中央大学理工学部 教授

1989年~2011年
日本学術振興会第144委員会 委員
1993年~1998年
電子情報通信学会磁気記録研究専門委員会 幹事補佐、幹事
2000年~2002年
電子情報通信学会磁気記録研究専門委員会 委員長
2002年~
IEEE Fellow
2003年~2006年
日本応用磁気学会 理事(論文、編集担当)
2011年
IEEE Distinguished Lecturer
2011年~
日本学術振興会第131委員会 委員


 平成25年6月から日本磁気学会の会長を務めさせて頂くことになり、当学会の実績や社会に与える影響の大きさを考えますと、身の引き締まる思いです。会員の皆様方と協力して学会が更に発展するよう努力致したく考えますので、宜しくお願い致します。

日本磁気学会は発足してから36年になります。ご承知のように、2010年および2012年には「独創的で飛躍的な成果を挙げ、科学技術の進歩、人類の平和と繁栄に著しい貢献をなした人」に授与される日本国際賞が、「垂直磁気記録の開発による高密度磁気記録技術への貢献」および「世界最高性能Nd-Fe-B系永久磁石の開発と省エネルギーへの貢献」により岩崎俊一博士と佐川眞人博士にそれぞれ授与されました。我々が関与する学術分野から連続して世界に誇れる受賞をされたことを大変嬉しく思います。御両名は当学会の会長、副会長も務められており、社会貢献のみならず学会の発展に多大なご尽力を頂いています。社会にインパクトを与えるこのような大きな貢献が当学会関係者から今後も引き続いて出ることを願っています。

本学会は1977年に日本学術振興会第137委員会を母体とし、「日本応用磁気学会」として設立されました。「磁気」をキーワードに理学と工学を両輪とし、物理、電気、電子、金属、化学、生物、医学、薬学、歯学などの幅広い分野の研究者が集い、情報交換や共同研究を進める場となっています。2007年には名称が「日本磁気学会」に改められましたが、発足当初から本学会は磁気の応用に対する関心が高く、多くの産業界会員に参画頂いています。磁気に関する基礎、応用に関心のある会員が学会活動を通して切磋琢磨する中で、基礎研究では着眼点や研究目標が明確化され、応用面では新技術開発の芽となるヒントや製品高性能化の可能性が見出されるケースも多いと思われます。基礎と応用の間で好ましい相乗効果も期待されます。学会活動では、基礎と応用の協力が重要です。磁気応用が社会で拡大すれば磁気に関心を持つ学生も増加し、研究力が強化されます。応用分野、磁気関連産業の会員の果たす役割は大きいと考えます。

磁気応用はエレクトロニクスからエネルギー、メディカル分野まで含めて、今日および将来にわたって社会で重要な役割を果たすことが期待されています。しかしながら日本磁気学会の現状は、会員数、特に産業界から参加頂いている会員や賛助会員の数が1992年以来減少傾向にあること、学会の財務が会員数減少と関連してここ6年間連続して赤字であり、このまま推移すれば数年以内に大変厳しい状況に至ることが予測されます。また、学会活動で重要な役割を果たしている論文誌(Journal of the Magnetics Society of Japan, JMSJ)の研究論文数が学術講演会関連の号以外では低迷傾向であり、情報発信力の低下が懸念される状況にあります。

前述しましたように磁気関連技術に対する社会からの期待は大きく、日本磁気学会を発展させる環境は整っています。今後は特に以下の3項目に留意して、学会の活性化を図りたいと考えます。

(1)仲間を増やす
(2)国際化
(3)情報発信力の強化

「仲間を増やす」:磁気の応用に従事されている産業界の会員数を増やす必要があります。多くの会員を出して頂いている磁気記録関連メーカの数が10年以上にわたって減少傾向にあります。エネルギー分野など興隆しつつある新たな産業領域の方々に会員として加わって頂く方向で、産業界から参画頂いている本蔵副会長および関連理事に活動を開始頂きました。

「国際化」:これまでアジア地域の台湾、韓国および中国の磁気関連学会と協力してアジア磁気連合(Asian Union of Magnetics Societies, AUMS)を組織して国際会議(International Conference of AUMS, ICAUMS)を開催してきました。アジア地域の磁気関連研究や技術開発は更に活発化すると思われます。共同開催による国際会議等を通した協力関係を継続致します。国際化では英語が共通語となりますので、会員には英語力が求められます。学術講演会で大学院生や若手研究者に英語講演を推奨することも有効と思います。また、松木前会長および前期理事会のご決断により、論文誌(JSMJ)の英文化が開始されます。国際化推進の点で大切な判断であり、軌道に乗せるべく努力致します。JMSJが国際的に評価され、多くの人が投稿したくなる学術誌にすることは学会にとっての重要課題です。従来からの懸案事項であるJMSJのインパクトファクターの取得を目指し、学術情報発信力を強化するため、JMSJの国際化を進めたいと思います。

「情報発信力の強化」:JMSJの論文数増大は情報発信力強化の最も重用な点です。英文での論文作成に慣れていない大学院学生や多忙な企業研究者の方々に英論文を書いて投稿頂きやすい環境を整えることも必要です。指導される立場にある会員諸氏のご協力をお願いします。学術論文誌の他にも当学会は、学術講演会、研究会、専門研究会、初等磁気工学講座、サマースクール、岩崎コンファレンス、公開講演会、メールマガジンサービスなどの活動を行っています。磁気関連書籍の編集と出版にも関与しています。これらの活動でも、会員および関連分野の研究者や技術者の関心を引き付けて好ましい相乗効果を生み出す、魅力ある情報の発信力が必要です。スピンエレクトロニクス、メディカルあるいはエネルギー関連産業と関係するトピックスなどは応用のみならず関連基礎分野を研究する方々にとっても磁石のような吸引力が働くと思います。国際化および情報発信力の強化では、神保副会長および関連事業をご担当頂いている理事、委員の皆様方に検討を開始して頂いています。

これらの活動を通じて日本磁気学会の活性化を図り、会員の皆様の学術研究、応用研究、製品開発、あるいは技術改良にとって当学会がこれまで以上に有効な交流の場となるよう努力致したく考えます。会員諸氏のご理解、今後のご協力を宜しくお願いします。