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磁気物理(初級)

Question
Q 1.
カー効果とは何ですか?
Q 2.
磁気の用語がよく分からないので教えてください。

Answer
Q 1.
カー効果とは何ですか?
A 1.

物質に直線偏光を入射したときその物質が磁化を持っていると、反射する光は楕円偏光になり、その主軸が入射光の偏光の方向から回転します。 この現象をカー効果と呼びます。この場合の主軸の回転角をカー回転角、楕円偏光の短軸と長軸の比をカー楕円率といいます。 カー効果は磁化の方向が反対になるとカー回転角、カー楕円率ともに符号が反対になります。この符号の違いを使って光磁気記録を行うことができます。
今、等方性物質がz軸方向に磁化を持つとすると、比誘電率テンソル は次のように表されます。

ここで、非対角成分である は、物質が磁化を持つことによって現れる成分です。
このとき、カー回転角θkとカー楕円率ηkをひとまとめにした複素カー回転φk=θk+iηkは比誘電率を使って次のように表されます。

この式から分かるように、カー回転角は比誘電率テンソルの非対角成分に依存します。また、対角成分 にも依存することがわかります。 代表的な磁性体のカー回転角を以下に示します。 実際に光磁気ディスクに用いられているTeFeCoの回転角は0.35度程度ですが、誘電体膜を使うことによって読み出し時の回転角は2度程度まで増強されます。

表. 代表的な磁性体のカー回転角
物質名 カー回転角(deg.) 測定光エネルギー(eV)
Fe 0.87 0.75
Co 0.85 0.62
Ni 0.19 3.1
MnBi 0.7 1.9
TeFeCo 0.35 1.5

参考文献: 光と磁気、佐藤 勝昭 著 (朝倉書店)

回答者: 東京農工大学 石橋 隆幸

Q 2.
磁気の用語がよく分からないので教えてください。
A 2.
質問で具体的に挙げられた用語に絞って回答します。
飽和磁束密度:磁性体に外部磁界を加えていったときに磁化がほとんど増加しなくなったときの、 磁性体の磁束密度。
残留磁束密度:外部磁界がゼロのときの磁性体の磁束密度。
保磁力:保磁力は、抗磁力ともいう。

無理矢理磁化をひっくり返すために加えなければならない逆向きの磁界 の大きさ。磁石では保磁力が大きく残留磁束密度が大きいほど大きな磁力を持つ。

初透磁率:最初に磁界のない状態で、微小な磁界が加わったとき、磁性体にどれだ けの磁束密 度が生じるかという係数が初透磁率。
最大透磁率:磁界中でさらに微小な磁界を加えたとき、磁性体にどれだけの磁束密度 が新たに生 じるかという係数が透磁率であるが、その最大の値が最大透磁率。
磁歪:磁界を加えたときに磁性体の長さが変わること。
電気抵抗率:単位長さ単位断面積あたりの抵抗値
キュリー温度:それ以上の温度だと、磁石が磁石でなくなる温度。
鉄損:鉄が周期的な外部磁界を受けたときに、磁化の変化によってエネルギー 損失が起こること。
銅損:銅線の電気抵抗により、電流が熱に変わってエネルギー損失が起こること。