64.05

分野:
磁性材料
タイトル:
Nd-Fe-B焼結磁石における省Dy技術
出典:
TMRC2008 (The Magnetic Recording Conference 2008) Digests
参考資料
日高徹也、「TDKにおけるNd-Fe-B焼結磁石の開発動向」、「2009 BMシンポジウム」資料、日本ボンド磁性材料協会、(2009)
 
 
概要:
 2009年12月4日に東京都内で開催された日本ボンド磁性材料協会開催の「2009 BMシンポジウム」で、TDK㈱の日高徹也氏は同社が経済産業省「希少金属代替材料開発プロジェクト」の「希土類磁石向けジスプロシウム使用量削減技術開発」(研究代表者 杉本 諭東北大学教授)で開発したDy使用量削減技術について講演した。発表資料によると、この技術は、焼結前のNd-Fe-B系合金粉末粒子に平均粒経1.6μmまで微粉砕したNd-Dy-Co-Fe合金を混合してNd-Fe-B系粒子の表面に付着させた後に、粉末冶金的手法により焼結磁石を作製するもので、焼結後の組織において主相の結晶粒界付近にDyが濃化し結晶磁気異方性が高いシェル領域が形成されることにより、Dyの使用量を削減できる。プロジェクトでの目標はDy濃度10重量%でiHc=30kOe、(BH)max=30MGOeの従来磁石に対してDy使用量を30%削減した7重量%Dyの磁石でiHc=30kOe、(BH)max=36MGOeとのことで、今回、Dy8重量%でiHc=30kOeを得たことで、20%削減まで達成できたとした。Dyの削減技術には焼結体表面からの粒界へのDy拡散によるDy付加技術がこれまでに国内数社から独立に発表されている。それらの方法では磁石表層部分の高保磁力が必要な部分にDyを集中的に配置できるという特長があるのに対して、今回開発の方法は磁石全体の保磁力を均一に高める点が特徴であるとした。今後、これらの技術の実用化が各方面で進められると期待される。

(日立金属㈱NEOMAXカンパニー 磁性材料研究所 広沢 哲)

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