89.01

分野:
磁気応用(生体磁気)
タイトル:
経鼻栄養チューブ先端位置の磁気的検出法の開発
出典:
Detection of magnetic target in human body by measurement of ac susceptibility
武内裕香, 田中慶太, 栗城眞也, 内川義則 (東京電機大)
電気学会マグネティックス研究会資料 Vol.MAG-11, No.83-90, pp.37-42 (2011.11.16)
 
 
概要:
 胃チューブ先端に磁性体を装着し、体外から交流帯磁率を測定することによってチューブ先端の体内位置を検出する手法を開発した。検出システムは、磁性体を磁化する励磁コイルと磁化したマーカーからの交流信号を測定する検出コイルから成る。矩形コイルを用いて線状電流磁界を励起磁界とし、励起磁界の垂直方向の磁場を検出し、体表面に置いた2個のコイルで励磁した。測定誤差は数cmと考えられた。
 
 
本文:
 病院では、食べ物の嚥下が上手くいかなくなった患者のために経鼻栄養チューブが用いられている。問題点として挿入後の時間経過と共にチューブがカールして、先端が食道内に移動することがあげられる。そこでX線を利用せずにチューブ先端位置を検出する安全で簡便な検査方法として、チューブ先端に磁性体を取り付け、体外から交流帯磁率測定により先端位置を推定する方法を開発した。
 従来報告されている交流帯磁率測定では円形励起コイル上に二つの検出コイルを配置する構造である。検出コイルは、差動型となっており励起磁界は減衰される。しかし10cm以上離れた位置では、励起磁界の影響により検出困難であった。そこで本研究では、矩形型コイルを用いることによって、線状電流磁界を励起磁界とし、励起磁界に垂直方向の信号磁界を検出する構造を検討した。その結果、検出コイルが励起磁界の影響を受けにくく、有効に磁性体を磁化し、検出コイルからから15cmの位置で信号を検出した。更に検出精度は、信号強度の数cm程度と推察される。
 従って、本提案の磁気検出システムが励起磁界に対して垂直磁界成分を検出する構成の有効性が示唆された。

(東京電機大学 田中 慶太)

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