122.02

分野:
磁気記録
タイトル:
磁気テープの世界最高密度の記録技術を開発
出典:
富士フイルム株式会社 ニュースリリース(2015年4月9日付)
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0972.html
IBM Corporation ニュースリリース(2015年4月9日付)
http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/46554.wss
概要:
富士フイルムとIBMはバリウムフェライトを用いた磁気テープにて世界最高の面記録密度123 Gbpsiでのデータ記録・再生を実証した。これは1巻あたり従来の約88倍となる220 TBに相当する。
本文:

磁気テープは、長期保存性、コスト、データ転送速度、消費電力の点で優れることから、現在、需要が増加している。富士フイルムとIBMは2002年から共同で、バリウムフェライト(BaFe)をベースにしたリニア記録方式の磁気テープの高記録密度化の研究開発を行ってきた。今回、BaFe磁性体の磁気特性を向上させることなどにより123 Gbpsiのデータ記録・再生に成功した。これは従来のカートリッジ(LTO6)の88倍にあたり、1巻あたり220 TBに相当する記録密度である。
今回の高密度化には主に以下の新技術・改良によって達成された。

  • 微粒子BaFe磁性体のサイズのばらつきを抑制する技術を開発し、微粒子の反転磁場分布を低減。(富士フイルム)
  • 新規の高分子分散剤の採用し微粒子BaFe磁性体をより均一に分散させる。(富士フイルム)
  • 粒子配列の緻密に制御することで垂直配向性を向上。(富士フイルム)
  • 新たに開発した平滑な非磁性層(下層)によってテープ表面の平滑性をより向上させ、ノイズ低減および磁気ヘッドと磁性層間の低スペーシング化による高い再生出力を実現。(富士フイルム)
  • サーボパターン書き込み時に発生する、高周波のテープ走行振動を抑制。(富士フイルム)
  • 広帯域アクチュエータ等のサーボ制御の改善と、テープ速度制御技術により、6 nm以下の位置精度を実現。(IBM)
  • 微小磁気パターンのための書込ヘッドの改良。(IBM)
  • 90 nm幅GMRヘッドのための信号処理アルゴリズム。(IBM)

今回の試験で用いた磁気テープは従来の塗布設備で生産しており量産化が期待される。

(東大物性研 谷内敏之)