35.04

分野:
磁気記録
タイトル:
パルスDC電着により作製したhcpおよびfcc Coナノワイヤ
出典:
Journal of applied physics 101, 054310 (2007)
 
概要:
 陽極酸化アルミナナノホールをテンプレートとして、パルスDC電着法によりCoナノワイヤを作製した。ワイヤの直径は約40nmで長さは約5mmである。電着時の電圧パルス周波数が25Hzの場合、Coワイヤはhcp構造をとり、その[1010]軸はワイヤ長手方向を向いていた。一方、電圧パルス周波数が1kHzの場合、Coワイヤはfcc構造をとり、[111]軸がワイヤ長手方向を向いていた。
本文:
 陽極酸化アルミナのナノホールをテンプレートとして、パルスDC電着法によりCoナノワイヤを作製した。ここでは、電着時の電圧パルスの周波数を25Hz(通電時間=25ms)と1kHz(通電時間=0.5ms)に設定した。

 製膜した後、表面を研磨して膜厚を60mmから5μmまで薄くした。続いて、陽極酸化アルミナのテンプレートを2%のNaOH水溶液で溶解することで、直径=40nm,長さ=5μmのCoナノワイヤを得ている。25Hzで電着したCoナノワイヤはhcp構造をとり、ワイヤ長手方向に[1010]軸がある。磁化容易軸は形状磁気異方性によってワイヤ長手方向にあり、その保磁力は約670 Oeであった。ワイヤは一本一本が単結晶のような構造を有している。

 一方、1kHzで電着したCoナノワイヤはfcc構造をとり、ワイヤ長手方向に[111]軸がある。磁化容易軸は25Hzの試料と同様にワイヤ長手方向にあり、その保磁力は約1760 Oeであった。これは、hcp構造に比べて約2倍の大きさである。ワイヤの中には直径が2~6nmの粒子が観察され、多結晶になっていることが分かった。このような製膜周波数による構造の違いはその成長過程の違いに起因する。

(富士通研究所 松本幸治)

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