磁気キャパシタンス効果の新展開

日 時:
2019年7月29日(月)13:00~17:20

場 所:
中央大学駿河台記念館
参加者:
28名

 本研究会では磁気キャパシタンス効果に関して、 スピントロニクスデバイスに限らず、 マルチフェロイック材料や有機ヘテロ接合にも対象を広げ、 磁気キャパシタンス関連分野においてご活躍の研究者の方々をお招きし、 当該研究の現状についてご紹介いただいた。 大勢の方々にお越しいただき、 活発な議論が交わされた。

  1. 「マルチフェロイック物質における磁気キャパシタンス効果」
    ○木村 剛(東大)

     本発表では、 磁性と誘電性の相関について特徴的な起源を有する様々なマルチフェロイック物質の磁気キャパシタンス(MC)効果について紹介された。 初めに、 遷移金属酸化物磁性体について紹介され、 MC効果が磁気秩序による空間反転対称性の破れに由来することが示された。 次に、 希土類金属酸化物磁性体について紹介され、 MC効果が電気四極子秩序に伴う反強誘電的な歪みにより誘起されることが示された。 最後に、 最新のトピックスとして液晶材料について紹介され、 分子配列機構によりMC効果が誘発されることが報告された。

  2. 「磁気トンネル接合における室温巨大磁気キャパシタンス効果」
    ○海住英生1、 長浜太郎2、 北上 修3、 西井準治2、 Gang Xiao4 
    1慶大、 2北大、 3東北大、 4ブラウン大)

    MgOベースの強磁性トンネル接合に直流電圧を印加すると、 トンネル磁気キャパシタンス(TMC)が増大する新たな現象が見出されることが報告された。 また、 本現象が拡張Debye-Fröhlichモデルに基づく理論計算により定量的に説明できることも示された。 この理論計算によると最大で1100%のTMC比が得られることから、 今後更なる発展が期待できることが報告された。

  3. 「金属-セラミックスナノグラニュラー薄膜の磁気-誘電効果」
    ○小林伸聖(電磁研)

     セラミックスのマトリックス中に微細な強磁性粒子が分散した金属-セラミックスナノグラニュラー薄膜では、 磁気トンネル電荷振動に由来する磁気-誘電(TMD)効果が生じる。 このTMD効果はGHz、 さらには光の波長帯にも及ぶ高い周波数帯域において発現する。 ナノグラニュラー薄膜は、 作製が容易で再現性が良く、 良好な耐熱性を有し、 その機能性は全て室温以上で得られるなど、 実用的な優位点を有する。 今後、 これらの特性の改善が進めば、 新しいマルチファンクショナル材料、 特に、 磁気光学材料の有望な候補になることが報告された。

  4. 「2次元ナノシートからつくる人工マルチフェロイック材料」
    ○谷口貴章1、長田 実2
    1NIMS、 2名大)

     酸化物二次元ナノシートを用いた人工マルチフェロイック材料の作製とその物理特性に関して報告された。なお、 本講演では当初予定していた名大長田先生のご都合が合わなくなったため、 共同研究者のNIMS谷口先生にご講演いただいた。

  5. 「有機半導体素子における磁場効果と磁気キャパシタンス」
    ○鐘本勝一1、2、 畑中秀人1、 中嶋敬幸1 
    1大阪市大、 2南部物理研)

     近年有機半導体デバイスにおける磁気伝導や磁気エレクトロルミネッセンス、 さらには磁気キャパシタンス効果に注目が集まっている。 本発表では、 それらの発現メカニズムについて、 電子正孔対の関与を裏付ける電子スピン共鳴実験を中心に詳細が報告された。

  6. 「[GeTe/Sb2Te3]超格子の磁気容量効果」
    ○鷲見 聡1、2、 粟野博之1、2、 富永淳二2、3
    (1豊田工大、2JST-CREST、3産総研)

     [GeTe/Sb2Te3]超格子は新たな相変化メモリとして研究開発されてきた。 一方で、磁気抵抗効果や磁気カー効果など興味深い現象も観測されている。 本発表では、 最近見出された[GeTe/Sb2Te3]超格子の磁気容量効果について報告された。 磁気容量効果は高温相で見られ、 低温相では見られないことが示された。 これはGeTe層のGe分極とスピン軌道相互作用に由来する可能性があることが報告された。

文責:植田研二(名大)