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第213回研究会/第6回エネルギーマグネティックス専門研究会報告

次世代高効率モータの最近の進展

共 催:
電気学会(リニアドライブ技術委員会)
日 時:
2017年6月1日(木)13:30~16:40
場 所:
上田市丸子文化会館 
参加者:
43名

 第213回研究会では、エネルギーと資源問題が重大化する中、次世代高効率モータの最近の進展について材料、センサ等にまつわる最先端研究の紹介と今後の展望について、5名の講師をお招きし多面的な観点から講演頂き、活発な議論が行われた。各講演の概要は以下の通りである。

  1. 「高効率モータ駆動システムのための磁性材料研究開発」
    ○藤﨑敬介(豊田工大)

     電気エネルギーの主要な革新がパワーエレクトロニクスにて行われており、今後飛躍的に普及することが予想されることが報告された。特に、電気自動車(HEV)などエネルギー系では、磁性材料の特性とその利用方法によって、その原理も異なるために必要とされる材料機能も異なることが紹介された。このようにパワーエレクトロニクス技術の進歩により高周波・大電力化の動きは、その実現に向けて新たな技術課題の解決を必要としていること、その中でも特に磁性材料の研究開発は喫緊の課題であることが報告された。

  2. 「DyフリーNdFeB異方性ボンド磁石を用いた高効率モータの検討」
    ○度會亜紀(愛知製鋼)

     永久磁石埋込型(IPM)モータにおいて、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ駆動を考慮して磁石材質と磁石形状をパラメータとしてステータ・コアとロータ・コアの鉄損および磁石の渦電流損を磁界解析により検討した。その結果、損失を小さくするために磁石材料としてDyフリーNd系異方性ボンド磁石を選択し、磁石形状を円弧状とすることで良くなることが紹介された。

  3. 「高効率モーター用磁性材料技術研究組合の成果報告」
    ○尾崎公洋(産総研)

     高効率モーター用磁性材料技術研究組合(MagHEM)では、経済産業省ならびに国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの「次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発」プロジェクトを委託され、効率の高いモーターの開発を目指して、新しい磁性材料の開発並びにモーターの開発を2012年から行い、昨年度で5年が経過したことが紹介された。本講演では、その成果の一部が紹介された。磁性材料の開発としては、Dyフリーネオジム磁石開発、レアアースフリー磁石開発、高Bsナノ結晶軟磁性材料の開発が紹介された。また、モーターの開発として、モーターの評価技術の開発、磁石減磁評価試験技術の開発と超高精度モーター損失分析評価装置の開発が紹介された。また、共通基盤調査・技術として、高密度で焼結するプロセス開発や磁石粒子の配向シミュレーション法が紹介された。

  4. 「高効率モータに使われる最近の軟磁性材料の技術動向」
    ○中島 晋(日立金属)

     高効率モータを実現するための重要な課題の一つとして、その鉄損の大幅な低減が求められていることが報告された。このための有効な手段である従来の無方向性電磁鋼板に代わるより低鉄損の軟磁性材料であるアモルファス合金とナノ結晶合金の現状について紹介された。特に、両材料とも難加工材であり、鉄心への加工が難しいという課題を、加工法を工夫することで産業機器用での実用化が開始され、モータ用の実用材料として注目されていることが紹介された。

  5. 「自動車における磁気センサの技術動向」
    ○山寺秀哉(豊田中研)

     自動車における磁気センサの役割は、車両状態の検知、車両環境の検知、環境からの車両検知であることが紹介された。車両状態検知には、多くの磁気センサが実用化され、今後高感度化と新しい検知機能、センサの小型化が求められることが報告された。車両環境検知には、レーザレーダーやマイクロ波・ミリ波レーダー、超音波ソナーや赤外線イメージセンサなどが普及すると考えられが、その性能を天候や日照条件の変化、泥、油などの環境の中で広い温度範囲にわたって安定的に発揮できるセンサが求められていることが紹介された。また環境からの車両検知は、今後の自動運転における情報の一部となっていて注目されることが紹介された。

文責:三嶋千里(愛知製鋼)