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第40回日本磁気学会サマースクール

磁気は情報,通信,制御,エネルギー,資源,環境,医療,福祉などに利用され,半導体と並ぶ大きな産業規模をもっていますが,学校教育においては,必ずしも十分な教育がなされているとは言えない状況です。そのため,日本磁気学会(MSJ)では毎年「MSJサマースクール」として,磁気の基礎から応用の最先端までを網羅した講義を集中形式で行い,磁気の分野で活躍が期待される若手,中堅の方々を応援してきました。本年は都内で三日間の開催となっております。本スクールは,磁気の基礎から応用における最近のトピックスまでを含め,幅広く,平易に学んでいただけるよう企画されています。また,会社や学校の垣根を越え,専門を同じくする個人同士の親交のきっかけや,講師の先生方と気軽に討論する機会が生まれます。是非このチャンスを逃さずご参加下さいますようご案内いたします。

日時:
2017年6月7日(水)~6月9日(金)
会場:
中央大学駿河台記念館670号室(7日, 8日)430号室(9日)
〒101-8324 東京都千代田区神田駿河台3-11-5(JR・御茶ノ水駅より徒歩3分,
東京メトロ新御茶ノ水駅より徒歩6分)
Tel: 03-3292-3111
URL:http://www.chuo-u.ac.jp/access/surugadai/
参加申込:
申込フォーム
申込みフォームを送信いただくと共に、参加費をお支払い下さい。

(問い合わせ先)
〒101-0052 東京都千代田区神田駿河台1-8-11 東京YWCA会館207号室
(公社)日本磁気学会
Tel:03-5281-0106, Fax:03-5281-0107
E-mail:msj@bj.wakwak.com

参加費:
受講料・テキスト代
(一度受けた参加費は返却いたしません)

正会員・賛助会員 36,000円
学生会員 20,000円(初等磁気工学講座から続けて受講の場合:19,000円)
一般非会員 46,000円
学生非会員 35,000円(初等磁気工学講座から続けて受講の場合:34,000円)

日本磁気学会初等磁気工学講座から続けて参加される学生の方には割引があります。

払込先:
郵便振替 00100-1-63028
銀行振込 三菱東京UFJ銀行 神保町支店
(店番013)普通預金2259640
口座名義 公益社団法人 日本磁気学会

お支払いの際は、どなたの参加費かを必ず電子メールにてお知らせ下さい。

申込締切:
2017 年 5月19日(金)
70 名になり次第締め切ります。

講義分野:
磁気工学の基礎, 磁気物理の基礎, 磁性薄膜, 
ソフト磁性材料, ハード磁性材料, スピンエレクトロニクス, 
磁気イメージング, 高周波磁気物性, 磁気記録, 
マイクロマグネティックス, 光磁気工学, 生体磁気

プログラム・
講義概要:
6月7日(水)
午後 13:00~14:30 磁気工学の基礎(物性-材料特性-応用)

和田裕文(九大)

はじめに磁性体の物理の基礎を理解するために、電子による磁気モーメントの形成、原子の中の磁気モーメント、結晶中の電子状態、磁性体の種類と理論的な取扱いについて説明する。さらに後ろの講義を理解する上で必要な基礎知識として磁気異方性、磁歪、軸構造について平易に解説する。なお、磁性に特有の問題である単位系についても簡単に触れる。

14:45~16:15 磁性物理の基礎(磁性と電子構造)
三浦良雄(京都工繊大)

本講義では物質の磁性と電子構造について、量子力学と統計力学を基礎として解説する。まず直接交換相互作用を電子の非弁別性と統計性から導出する。次に超交換相互作用・二重交換相互作用・RKKY相互作用について説明する。さらに遷移金属など遍歴電子系の強磁性発現について強磁性Stoner理論を用いて解説する。最後にスピン軌道相互作用を起源とする反対称交換相互作用・結晶磁気異方性について摂動論を用いて議論する。

16:30~18:00 磁性薄膜(磁性薄膜の基礎物性と評価手法)
柳原英人(筑波大)

磁性薄膜に特有の基礎物性とその作製・評価方法について説明する。磁性薄膜に特徴的な各現象を特徴づける長さについて簡単に考察した後,薄膜化に伴い生じる磁気異方性や,多層積層構造に現れる交換層間結合等を説明する。また今日広く用いられている物理的,化学的成膜手法についてその原理や特徴を述べる。さらに薄膜試料の評価技術については,薄膜構造と磁気特性について一般的な評価方法を紹介する。

18:30~20:30 サマースクール交流会
6月8日(木)
午前 9:00~10:30 ソフト磁性材料(ソフト磁性材料の基礎と応用)
小林伸聖(電磁研)

お家芸と言って良いほどに,優秀なソフト磁性材料の多くが日本で開発されている。生産額は、ハイブリッドや電気自動車のモーターのコア材や各種センサ、トランスやインダクタの磁心など、益々増えている。しかし、研究開発において、当学会でもソフト磁性材料に関する発表は減少しており、応用面でも、要求の高まっている高周波化への物理的な限界が迫り、極めて難しい局面にあると考える。本講義では、日本のソフト磁性材料開発の輝かしい歴史を振り返ると共に、厳しい局面を迎えつつある研究開発の方向性について議論する。

10:40~12:10 ハード磁性材料(永久磁石の基礎と応用)
岡本 聡(東北大)

永久磁石はエネルギー変換材料として長くモータや発電機に使われ、人類の生活を支える重要な役割を果たしている。それ以外にもハードディスクのヘッド駆動モータ、放射光光源など、IT産業や基礎科学の発展においても不可欠なものとなっている。さらに近年は環境材料として注目も高まり、新規磁石材料の開発は今日においても極めて重要な研究課題の一つである。本講義では、まず各種永久磁石材料について説明し、さらに現在の研究課題と今後の展望について紹介する。

午後 13:10~14:40 スピンエレクトロニクス
(スピンエレクトロニクス材料・デバイスの基礎)
大兼幹彦(東北大)

スピントロニクス(またはスピンエレクトロニクス)は、電子の有する電荷とスピンの性質を利用して新しい電子デバイスを創成する分野である。しかし、スピントロニクスと一言でいっても、多種多様な物理現象がその範疇に含まれており、これらをすべて本スクールで扱うことは難しい。本スクールでは、スピントロニクス分野が形成されるきっかけとなった物理現象である「磁気抵抗効果」と、それと対をなす「スピン注入磁化反転」について講義し、それらの現象を利用したデバイスについて紹介する。

14:50~16:20 磁気イメージング(磁気イメージングの基礎と応用):
竹澤昌晃(九工大)

本講義では、直接は目で見ることができない磁性体の磁化現象を可視化する方法、「磁気イメージング」について、その様々な可視化手法(ビッター法、磁気光学効果(ファラデー効果、カー効果)、磁気力顕微鏡(MFM)、スピン偏極走査トンネル顕微鏡、電子顕微鏡(ローレンツ顕微鏡、電子線ホログラフィ、スピン偏極走査電子顕微鏡)、放射光X線MCD、走査ホール素子顕微鏡など)の原理や特徴について紹介する。

16:30~18:00 高周波磁気物性(高周波磁気物性の基礎と応用)
曽根原 誠(信州大)

RFインダクタのような高周波部品で磁性材料を用いる場合は、磁壁の移動が追従しなくなるため、多く利用される一軸磁気異方性を有する軟磁性材料の場合、磁化困難軸方向に磁界を印加し、磁化回転を用いる。また、磁性材料中には渦電流が生じるため、渦電流損を低減させるため、電気抵抗率が高い材料が望まれ、更には磁性材料にスリットを入れる必要がある。高周波部品に応用した際の工夫など実用面からも講義する。

6月9日(金)
午前 9:00~10:30 磁気記録(磁気記録の基礎と将来高密度化技術の展望)
喜々津 哲(東芝)

磁気記録(HDD)の高密度化技術の基礎を概説する。まず、主要磁性部品である記録/再生ヘッドと記録媒体について、基本構成と高密度化のために必要な開発事項を述べる。実はこれらの技術の単なる集積では、tri-lemmaと呼ばれる問題のため高密度化はできない。そこで、この課題のブレークスルー技術として現在検討されている、熱アシスト磁気記録、マイクロ波アシスト磁気記録、ビットパターンド媒体、TDMR (Two-Dimensional Magnetic Recording)について、基本コンセプトと開発課題を概説する。

10:45~12:15 マイクロマグネティックス(微小領域の磁性とデバイス応用)
古屋篤史(富士通)

本講義では、微小領域の磁性およびスピントロニクスデバイスの解析に有効な手法であるマイクロマグネティックスについて解析する。まず、マイクロマグネティックスの基礎方程式であるLLG方程式や有効磁界について説明する。後半では、それらを用いたシミュレーション結果に基づき、どのような現象が再現・解析できるかを紹介する。

午後 13:15~14:45 光磁気工学(光磁気の基礎と応用)
内田裕久(豊橋技科大)

磁気光学効果は、磁性体と光との相互作用によって直線偏光の回転や楕円率の変化などが起こる現象のことである。主要なものに透過光に対するファラデー効果、反射光に対するカー効果があり、これまでに情報を記録する光磁気ディスク、光通信の分野において戻り光を遮断する光アイソレータなどで利用されてきた。本講義ではこの磁気光学効果の基礎と応用について述べる。

15:00~16:30 生体磁気(生体と磁気,磁気医療の基礎と応用)
関野正樹(東大)

磁界は体の深いところまで到達するため、磁界の利用によって鮮明な断層撮影や脳機能計測が可能になる。また、脳へパルス磁界を与えて脳内に生じた渦電流によりニューロンを刺激する手法が、神経系の検査や治療に利用されている。これらの技術の利点は、電界や放射線などを使う技術に比べて、侵襲が低いことにある。磁気を用いた医療機器の主なものについて、原理や特徴を中心に説明し、近年の動向も紹介する。また、磁界が生体に与える作用についても概説する。

チーフオーガナイザ:
 関 剛斎(東北大)

サブチーフ:
 海住英生(北大) 

オーガナイザ:
植田浩司(パナソニック), 大久保忠勝(物材機構), 岡田泰行(三菱電機), 小澤哲也(東北学院大), 近藤浩太(理研), 柳井武志(長崎大)