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第34回ナノマグネティックス専門研究会 報告
日 時:2010年5月14日(金)13:30〜16:45
場 所:(社)日本化学会 化学会館
参加者:22名

 IEEE Magnetics Society Japan Chapterとの共催で開催した。今回の専門研究会では、ナノマグネティクスの分野において、比較的、基礎的なフェーズの研究結果について紹介された。このため、普段とは異なる研究者が出席し、新鮮な討論が、活発に行われた。
  1. 「層状ペロブスカイト型Mn酸化物の磁気構造およびその電気伝導」
    ○寺井智之、福田 隆、掛下知行 (阪大)

     層状ペロブスカイト型Mn酸化物La2-2xSr1+2xMn2O7は層状構造に由来した非常に複雑な磁気構造を示す。講演ではこれらの酸化物に対する中性子回折により得られた磁気構造と結晶構造の関係について議論し、合わせて電気伝導との関係について報告された。また、従来、報告されていた相図には、誤りがあり、今回、正確な相図が報告された。

  2. 「反強磁性ホイスラー合金薄膜の歪み効果と電子構造」
    植田研二、○深谷直人、藤田裕人、高橋一成、竹田陽一、浅野秀文(名大)

     (001)MgAl2O4、MgO基板を用いて歪制御した反強磁性Fe2VSiエピタキシャル薄膜の磁気、電気伝導特性について報告された。実験の結果、ネール温度が格子定数の比c / a が小さくなるにつれ大幅に上昇し、最大でバルク値から50%上昇することが明らかになった。この歪効果のメカニズムについて電子構造の観点から考察した結果について詳細に報告された。

  3. 「電界によるスピン制御:鉄ナノクラスター表面の磁気電気結合」
    山田豊和(千葉大、Karlsruhe Institute of Technology)

     鉄ナノクラスター表面が磁気電気結合を有することを発見し、さらに、電界による磁性の制御を行った。走査トンネル顕微鏡の探針を用いると、比較的容易に試料へ1 GV/m程度の高い電界をかけられる。報告者は、超高真空中、4 Kの温度において、試料に正の電界をかけることで強磁性状態から反強磁性状態へ、負の電界をかけることで反強磁性状態から強磁性状態へスイッチすることを発見した。また、磁性状態制御の再現性は優れていることが示された。本報告の応用により、電界によるスピン制御を利用した新規デバイスの開発が期待できる。

  4. 「異種材料複合化によるナノ磁性スピントロニクス」
    谷山智康(東工大、JSTさきがけ)

     磁性体から半導体量子井戸へのスピン偏極電子の注入を行った際の、円偏光発光から注入された電子のスピン偏極率について報告された。また、その逆過程としてのスピンフィルター効果について、円偏光スピン励起法に基づいて、界面共鳴準位の形成に起因する特徴的なバイアス電圧依存性の存在が指摘された。さらに、磁性体/強誘電体ヘテロ構造では、界面歪み誘起磁気に伴う、磁気異方性のスイッチング効果が生じることが紹介された。

文責:中谷亮一(阪大),塚本 新(日大)