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第7回ナノマグネティックス専門研究会 報告
日 時:2004年7月16日(金) 13:30〜17:00
場 所:御茶ノ水駅徒歩3分日大理工学部駿河台校舎1号館2階122会議室
参加者:約34名
  1. 「テンプレート補助型自己組織化を利用したFePtナノ粒子アレイの作製」
        (水野幹久、佐々木勇一、余澤中、宮内貞一(ソニー、RMカンパニー))

      アンカー分子を用いた液相合成法によるFePtナノ粒子の形成とその磁気特性が報告された。Fe濃度バラツキ等により保磁力が小さく磁気特性は不十分だが、数平方cmの大きな面積で均一なナノ粒子が形成できる。電気化学的にアンカー分子をパターニングすることにより、~25nm(1Tb/in2級)の微細化ナノ粒子形成の可能性も示された。パターンドメディアへの応用が期待される。

  2. 「面内記録媒体SFMを用いた熱アシスト記録の検討」
        (猪又 明大(富士通研究所 磁気ディスク先行研究部))

      記録媒体の高密度化に伴う課題を分かりやすく解説すると共に、高Hcで熱安定性の高いSFM媒体(シンセティックフェリ磁性媒体)への熱アシスト記録と、その記録再生特性が報告された。通常の磁気記録では書き込み不能な高Hc SFM媒体において、弱い加熱でも十分なアシスト効果を得られヘッド磁界で記録できる。69 Gbit/in2媒体と同等の記録再生特性を得、記録容易性、高SNR、熱安定性を満たす可能性を示した。熱アシスト・スピンスタンドは媒体開発に有用なツールとして期待される。

  3. 「Exchange Coupling and Grain Size Distributions in Perpendicular Recording Media」
        (S.J. GREAVES (RIEC, Tohoku University))

      垂直磁気記録膜に対し、記録ヘッド磁界勾配を考慮した磁化反転シミュレーション結果が報告された。磁性粒子サイズの分散が大きな媒体において、媒体の交換結合力はジッター、ノイズ等記録特性に不利に働き、その最適値は、磁性粒子サイズの分散の増加と共に減少する。また、記録トラック幅は、交換結合と共に増大するが、消去幅の増大は見られず、面記録密度向上を実現するためには記録トラック幅の制御が必須であることを示した。

  4. 「FeCo合金を用いたCPP-GMRにおけるMRのFe濃度依存性」
        湯浅裕美、福澤英明、岩崎仁志(東芝、研究開発センター)

      200Gb/in2以上の高記録密度に対する高感度再生ヘッドの優良候補であるCPP-GMRについて、極薄Cu層を積層したFeCo合金のMR性能とFe濃度の関係が報告された。Fe濃度が10-30at%に比べて、50-80at%でMRが3倍程度増大すること、MR増大はbcc構造により引き起こされた可能性を示した。50%でMRが最大となる従来2元合金系の理論予測とは異なり、MR発現メカニズムの解明および更なるMR増大への発展が期待される。
  以上4件の発表中、超高密度記録の抱える課題の概観から、化学的合成によるナノ磁性粒子媒体やナノクラスター磁性媒体のモデリング等のかなり具体的な部分まで積極的な質疑が行われた。今後、ますます議論が深まることが予想される会議であった。

(日大 塚本 新,東芝 岩崎 仁志)